地域には、ことばに困っている人がたくさんいる ――それでも、私たちが出ていけない理由

皆さま、お正月明け、どのようにお過ごしでしょうか。私は、景色がよいワークスペースでひたすら思考の時間を過ごし、2026年について考えました。さて、今日からは、言語聴覚士として今の想いを書いていこうと思います。
地域には、ことばに困っている人がたくさんいる
地域には、ことばに困っている人が確かに存在します。にもかかわらず、言語聴覚士が十分に関われていないのはなぜなのか。制度と現場のあいだにある構造的な矛盾を、同業者の視点から見つめ直します。
――それでも、私たちが出ていけない理由
地域で仕事をしていると、いつも思います。
ことばに困っている人は、本当にたくさんいる。
失語症のある人、高次脳機能障害によって会話が難しくなった人、発達の特性からコミュニケーションにつまずいている子ども、あるいは診断名がつかないまま困り続けている人。
病院や施設の外には、支援につながらないまま生活している人が、確実にいます。
それなのに 、私たち言語聴覚士(ST)が、そこに十分関われているかというと、正直に言って「はい」とは言えない現実があります。
よく言われます。
「地域にはSTが足りない」「もっと外に出て支援してほしい」と。
制度の中にいる私たち
しかし同時に、私たちは知っています。
制度上、言語聴覚士が活躍できる“場”は、驚くほど限られているということを。
医療保険、介護保険、療育制度。
それぞれの枠の中で役割が定義され、点数が決まり、医師の指示や施設の運営方針に従って働く。
制度は大切です。多くの人を守ってきました。
けれどその一方で、制度の外にこぼれ落ちた「困りごと」には、私たちはほとんど関われない。
退院後の生活、訓練が終わった後の会話や人間関係、学校や職場、地域でのコミュニケーション。
そこにこそ本当の困りごとがあるのに、そこはSTの仕事として制度化されていない。
「ニーズはあるのに、仕事にならない」
この矛盾を、多くのSTが感じているのではないでしょうか。
これは個人の努力不足ではなく、構造の問題です。
そして今、その構造に違和感を覚える人が、確実に増えているように感じています。


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