リハビリテーションの目標とは何か? 〜言語聴覚士のお仕事〜

リハビリテーションの目標とは何か? 〜言語聴覚士のお仕事〜

リハビリテーション(rehabilitation)とは、医療、教育、職業、社会福祉の分野で使われている用語で、再び適した状態になること、つまり、その人らしい生活を取り戻すという過程を示します。私は病院に勤務しており、医療の分野にいますが、時々、リハビリテーションの目標は何であるかを考えさせられることがあります。

「〜できるようになる」だけが、ゴールではない

 

脳卒中や外傷、その他、急性疾患により、これまでできていたことが、ある日突然、困難になった人、

進行性疾患や、認知症などで、これまでの生活が、少しづつ困難になってくる人、

そうした人達に対して、リハビリテーションを実施していく際には、本人や家族を含めて、「〜できるようになる」という目標をたてます。

麻痺していた手が動くようになる、歩くことができるなど、悪化した機能の回復を目指す場合もあります。また、機能は目覚ましく回復しなくても、または悪化しても、使いやすいように工夫した自助具や車椅子などなんらかの代償手段を用いたり、自宅をバリアフリーに改修するなど環境を整えることで、着替えたり歯を磨くなど身の回りのことができたり、移動することができるなど、「〜できる」という能力を再び獲得することを目指す場合もあります。

患者さんが以前できていたことが少しでもできるようになり、在宅に帰る、仕事に復帰することが叶えば、私を含めて病院に勤務するリハビリ職は、目標が達成できたと、安堵することがほとんどです。

 人それぞれの「役割」を取り戻したい

最近は、仕事をしている、子育てをしている世代で、脳卒中になる方が増えています。

治療とリハビリテーションの期間を経て、

復職はできなかったが、外出も一人でできるし、障害年金や生活保護の申請をして、なんとか経済的な基盤は整えた、

または、自分の身の回りのことだけはできるようになって、自宅に帰ることができた、

こうした人たちからよく聞くのが「役割が欲しい」という言葉です。

会社員であれば、仕事をしていた時は、職場では役割がありました。家族に対しては、お金を稼いでくるという役割がありました。病気になって、年金や給付金により、当人が就労しなくてもある程度のお金が家庭に入るようになった。しかし、お金さえ入ればいいというものではありません。勤労所得が獲得できなくても、なんらかの形で社会とつながりを持ち、責任あることができるようになりたい。

主婦であれば、家事をして子育てをしているという役割がありました。ヘルパーさんや、他の人が代行することで、家事は当人が担当しなくてもそれなりに回っている。しかし、暮らしが回ればいいというものではありません。家事ができなくても、家族に対して、その人ならではの働きができる。

つまり、病前に担っていた役割をなんらかの形で再獲得できるまで、進行していく疾患であれば形を変えてでも役割を果たすことができるように、そうした視点でリハビリの目標を当人や家族と一緒に考え、その目標を達成したいと思います。

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