失語症がある人の家族の気持ち~言語聴覚士のお仕事~

失語症がある人の家族の気持ち~言語聴覚士のお仕事~

2019年からオンラインで言語リハビリ(ことばの天使)をしています。ご利用される方は、在宅(自宅または施設)で生活されている失語症や高次脳機能障害がある方です。もちろん家族と同居の人もいれば、別居の人もいます。

2018年に立ち上げたNPO法人Reジョブ大阪でも、月1回、失語症や高次脳機能障害がある人も、家族も、支援職も参加OKの会(まるっと会)を開催しています。ご本人が参加する場合もあれば、家族の方が参加する場合もあります。

こうした活動の中で、様々な家族の方にお会いして、話を聞いてきました。病気があってもこれまでとあまり変わらない関係を継続している家族もいれば、大きく変わる家族もいます。中には悩んだ末、離婚を選択される方もいます。今日は、様々な家族の方と接して思うことを、書いてみたいと思います。

がんばり過ぎないことが一番大事

ある日突然、脳の病気やけがをした。後遺症が残った。仕事も家事も、あらゆることが一変してしまう。これまで担ってきた役割が難しくなった。一人で出かけると危なそう、通院や役所、仕事などこれまで通りにできないみたい・・こうした中、がんばり過ぎる家族の方がいます。私がなんとかしなくては!という、責任感が強い方です。

例えばご主人が倒れた場合、奥さんは家事も育児も今まで通りこなし、役所関係や通院の付き添いなどのご主人の病気や障害に関わる用事が増え、経済が心配なので仕事を増やす人も少なくありません。これまでの3倍くらい忙しくなってしまいます。

奥さんが倒れた場合も同じです。これまで通り仕事をしながら、家事や育児が追加され、もちろん病気や障害に関わる用事が増えます。こちらも3倍くらい忙しくなります。

家族が倒れるのではないかと心配になります。当然、家族も疲れてきます。

家族に余裕がないので、社会資源、使えるサービスを調べることさえ頭に浮かびません。悪循環です・・

そんな家族にお伝えするのが

「もう少し離れても大丈夫ですよ!一人暮らしをしている人だってたくさんいるのですから」

ということです。一人暮らしであればやらざるを得ないので、何かとサービス組み合わせたり、自助具など使いながら生活していきます。家族ががんばり過ぎると、本人にとってやらざるを得ない状況が作れません。なので、思い切って、本人のためにも、離れることが大切だと考えています。

他の家族はどうしているのだろう?

多くの方が質問されるのは、他の家族は、何に悩み、そして課題を乗り越えていったのかということです。当然ですよね、病気もケガも後遺症もすべて初めてのことだらけなのですから。私たち、支援職は、たくさんの人を見てきていますが、本人や家族にとっては、すべてが初めてなのですから。私は以前から、そうした家族の方がつながれる場が、少なすぎると思っています。各地で開催されていた家族会も、高齢化が進み、コロナ禍もあり、縮小傾向です。新しい形での家族会が必要だと思いますし、家族についての情報も発信したいと思います

お知らせ

失語・高次脳機能障害の方の当事者インタビュー冊子の事業に関してクラウドファンディングをしています。記事もたくさん掲載していますので、お読み頂ければ!来年度は家族の特集も組んでいきます。

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