法律に「含まれる」と書かれた日に、複雑な気持ちになった話

法律に「含まれる」と書かれた日に、複雑な気持ちになった話

「失語症を含む」という一文

2026年4月1日、高次脳機能障害支援法が施行されました。高次脳機能障害というのは、脳の病気やケガのあとに、記憶や注意力、感情のコントロールなどが難しくなる状態のことです。この法律には、はっきりと「失語症を含む」と明記されています。

 

失語症とは、脳卒中などの脳の病気のあとに、言葉が出てこなくなったり、うまく理解できなくなったりする状態のこと。私はこの23年間、言語聴覚士として、この失語症の方々と向き合ってきました。

 

正直に言うと、この法律の施行を知ったとき、私は喜びと同時に、少し複雑な気持ちになりました。

「同じ」と言いたいわけではない

誤解のないように、最初にはっきり言っておきたいことがあります。私は「失語症と高次脳機能障害は同じだ」と言いたいわけではありません。症状も、必要な支援も違います。それぞれの特性に合わせた専門的な支援が、これまで別々に育ってきたことにも、ちゃんとした意味があります。

法律の文言と、現実の制度のズレ

では、何が複雑だったのか。それは、法律の「文言」と、実際に当事者を取り巻く「制度」のあいだに、大きなズレがあったからです。

 

行政の障害認定や手帳の制度は、歴史的な経緯から、失語症と高次脳機能障害を別々に整備してきました。法律の上では「含む」とされても、現場の制度は簡単には一つになりません。この、法律と現実のねじれに、私は複雑さを感じたのです。

 

次回は、実際に当事者・ご家族、そして支援者の方々からいただいた「生の声」を通して、このねじれが日常生活のどんな場面に現れているのかをお話しします。

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