ことばを聞く能力~もっと知りたい失語症 その3~言語聴覚士のお仕事~

ことばを聞く能力~もっと知りたい失語症 その3~言語聴覚士のお仕事~

昨日は「脳がどのように言葉を聞いて理解するのか」についてお伝えしました。本日は、失語症がある人がなぜ、言葉を聞いて理解するのが難しくなるのか、背景にある症状についてお話します。

人が話す言葉を構成する音が聞きとりにくい

失語症になると、相手の話ことばがどのように聞こえるのでしょうか?
脳のどの部分が損傷したかによっても違ってきますが、左の脳の横の部分、側頭葉と言われる部分が損傷すると、音がわかりにくくなることがあります。「あ」なのか「ら」なのか、区別がつきにくくなる。こうなると「たまご」なのか「タバコ」なのかわかりにくくなります。

次に音と意味がつながらない方もいらっしゃいます。例えば「たまご」と言語聴覚しか伝えたときに、「たまご」と繰り返すことはできるのですが、「たまご」がどんな意味かわからない場合です。

こうしたレベルで困難さがある方は、簡単な日常会話でも、非常に困難に直面します。もっと手前の部分、人の音声と周囲の音との違いがわかりにくい、聞き分けが難しい人もいれば、聴覚過敏といって、周囲の音が何倍も大きな音に聞こえる人もいます。こうなると、とても静かな環境でないと、相手の話が聞きとれませんし、本人はとても日々、苦痛です。つねに騒音下で生活しているような状態だからです。

単語は聞き取れても、文章の意味がわかりにくい

次に単語はわかるけれども、助詞の意味がわからない、または助詞が聞き取れない方もいます。「お母さんに電話をかける」「明日は、病院へ行く」など、「は」「に」「へ」など、助詞の1音を、単語の間、間に聞き取ることが難しくなります。

私たちが話す文章には、可逆文と非可逆文があります。可逆文は、主語と目的語がひっくり返っても成り立つ文章のことです。「私がお母さんに電話をかける」でも「お母さんが私に電話をかける」でも、状況としてはあり得ますね。この場合、助詞がわからないと意味が把握できません。反対に非逆文と言ってひっくり返ることができない文章もあります。例えば、「お母さんがりんごを切る」、これを反対にして「りんごがお母さんを切る」これはあり得ませんので、たとえ助詞がわからなくても、状況は理解するできます。

私たちは、日常生活では、助詞を抜いて会話をしていることが多いですね。例えば「ジュースをとって」と言わず「ジュース、とって」のような話し方をします。だから、助詞がわからないと必ずしも文章を理解できないわけではありませんが、「誰が誰と」「誰が誰に」のような文章では、助詞がわかりいくいと、ちょっとした勘違いをする原因にはなります。

ただ、このレベルの方では、話し相手が少し工夫することで、何とか乗り切ることができるでしょう。

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