無謀なのはやり遂げたい気持ちなのか、障害特性なのか~失語症・高次脳機能障害~
毎月、失語症・高次脳機能障害者の当事者インタビューを行っています。そこで聞かれるのが「ある日突然起こる人生の不合理」そこからの「再生」です。本日は、中学3年生のとき
普通に夕ご飯を食べていたときに、倒れた松川力也君です。
あの日を境に、当たり前の生活が奪われた
受験前になるとクラブ活動もなくなり、友達とちょっとおしゃべりして帰宅、夕ご飯を食べてから、勉強するかって生活になりますね。松川君もそんな当たり前の生活を送っていました。ご両親は出かけていて、お兄さんと2人でテレビを見ながら夕ご飯を食べる。あるあるの光景です。ところが、なぜか左の口角から汁物がこぼれて食べられない。「なんだこれ!イラっとする!」と箸を投げ出した直後、左半身から身体が崩れてしまいます。
10代の子供が救急車を呼ぶなんて、思いもしないですよね。慌てたお兄さんは、当時はまっていたアメリカドラマにでてくる救急番号「911」を押してしまったそうです。繋がらない・・・そりゃそうですが。
松川君は、脳出血の量は多く、原因が血管奇形だったこともあり、3回の手術を繰り返した松川君。麻痺は重く、意識もはっきりしない日々が続きます。しかし、入院中に高校受験を決意します。
みんなが全否定。でも、やるかどうか決めるのは自分
車いすでどうやって会場までいくの?そもそも試験勉強なんてできないでしょ?
という周囲がみんな否定する中で「いや、僕は受験する」と決意して、受験し合格!
合格したはいいが、新学期を向かえる時期は入院中!病院から学校へ通う日々で、当然単位が足りない。すわ、留年か?となるも「いや、僕は留年したくない。なんのために入院中に受験をしたんだ」とあくまでも同じ年齢の人と進級を希望し、なんとか進級。
無事3年生まで進み、進路を決める時、言語聴覚士になることを決意。それは国家試験があるから無理じゃないか?と、今度も全否定。それでも実行!
「言ったからにはやらないといけないんで、やるしかないじゃないですか」とさらりと言える松川君。
無謀に思えるチャレンジを、単なる「障害認識が乏しい」という一言で片づけてはいないだろうか?と、医療職としてのわが身を振り返りました。
やるやる詐欺は多いが、有言実行する人は極めて少ない
世の中、「やります!」「やりたい!」という人は多いが、ま、そんなにスタートからスムーズに事は運びません。SNSでは「楽して・・」「短時間で・・」「短期間で・・」のインスタントなものが宣伝されていますが、そんなに甘くないのが現実です。
甘くなくてもやり遂げたいのが「やりたいこと」であって、甘くないとわかるや否や手放すのは「別にやりたいことではない」のです。
そして「やりたい」ことに対する情熱は、どんな困難も超えられる可能性を秘めている!
14歳で脳出血、身体麻痺と高次脳機能障害を抱えながらも、人生を切り開いている松川君のお話はこちら↓↓
U-25で脳を損傷! その後のリアル キャリア形成 人生を生き抜く知恵 公開シンポジウム
脳卒中などの「ある日突然おこった理不尽さ」を乗り越えてきた人の話は、はっきり言って、普通の自己啓発セミナーより役に立つと思っています。私は、起業してからの困難にぶち当たるたびに、当事者の声に励まされて立ち直ってきました。
脳卒中とか関係ないなと思うかもしれませんが、人生に迷っている人!覚悟が定まらない人!(笑)公開シンポジウムでお待ちしています。
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