人生なんて不合理だらけ!ならば自分は合理的に判断したい~失語症・高次脳機能障害~

人生なんて不合理だらけ!ならば自分は合理的に判断したい~失語症・高次脳機能障害~

毎月、失語症・高次脳機能障害者の当事者インタビューを行っています。そこで聞かれるのが「ある日突然起こる人生の不合理」そこからの「再生」です。

本日は、就職してたった数か月、はりきって仕事をしていた最中に、職場で倒れた島本昌浩さんです。

泣いても仕方ないわけですから・・

島本さんは大学卒業後すぐに、講師のお仕事をしていました。やりがいをもって働いていたある日、授業中に突然倒れます。駆け付けた同僚に向かって「授業に戻らないと」とつぶやきながら意識を失っていきます。原因は生まれつきの脳の血管の病気、脳動静脈奇形(AVM)が原因の脳出血でした。運ばれた病院先で、主治医から後遺症の説明をご両親と一緒に聞きます。「大丈夫!家族は味方だし。友達もいる」という励ましの言葉で泣き出してしまったとのこと。転んだ子供が必死で泣くのを我慢して、通りがかりのおばちゃんに大丈夫?と言われて一気に泣き出すようなものだとか。わからないでもない、いや、とてもわかる。

しかし、次の朝、「そうはいっても、泣いても仕方ない。できることを考えたほうが合理的だ」と思ったというから、すごいです。医療的にはそうだろうけど、普通は立ち直れないものです。

もっともっと軽度で、1週間がんばれば自宅にすぐ帰れる!というような人でも、「なんで俺が」とケアもリハビリも拒否して、回復の機会を逃してしまうなんてことは、医療現場ではよくあること。人間は感情に支配される動物なので、自分ごとになると、なかなか合理的に判断できないものです。

過去と他人は変えられない、変えられるのは未来と自分だけ

過去と他人は変えられない、変えられるのは未来と自分だけ。これ、良く聞きますよね。でも、多くの場合、環境や他人をなんとかしたいと思いませんか?たとえ、それが無理だとわかっていたとしても。何か不都合があると、他人のせいにして自分は知らんぷりという人も少なくないです。でも病気は、他人のせいにできないですよね。どうしても自分と向き合わざるを得ない。

アルコール依存症や、薬物依存症の克服を目指す団体で唱えられる有名なニーバーの祈りの冒頭はこちら。

神よ、変えることのできないものを静穏に受け入れる力を与えてください。
変えるべきものを変える勇気を、
そして、変えられないものと変えるべきものを区別する賢さを与えてください

自分の人生にある日突然ふりかかった困難を、どのように受け止めていくのか。それは誰にとっても大きな課題です。島本さんと話をしていると

常に「起こったことはどうしようもないですから」「他人は変えられないですから」という発言がよくでてきます。もともと合理的な思考を好む性格だったそうですが、22歳で脳出血になった経験が影響しているのは間違いないと思われます。

22歳で脳出血、身体麻痺と高次脳機能障害を抱えながらも、人生を切り開いている島本さんのお話はこちら↓↓

U-25で脳を損傷! その後のリアル キャリア形成 人生を生き抜く知恵 公開シンポジウム

就職への困難な道のりも「鋼の心」で乗り切ってきたとか。

脳卒中などの「ある日突然おこった理不尽さ」を乗り越えてきた人の話は、はっきり言って、普通の自己啓発セミナーより役に立つと思っています。私は、とてもとても理不尽な目にあったとき、「怒っても仕方ない」(こちらは怒ってもです、笑)と、島本さんのように冷静になるよう言い聞かせてきました。

脳卒中とか関係ないなと思うかもしれませんが、やたらと「自分ってついてない、恵まれていない」と思ってしまう人(笑)公開シンポジウムでお待ちしています。

私の活動をご紹介

 

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