失語症の方がいる家族さんへ~心安らぐ相手として
失語症になってコミュニケーションが難しくなり、暗い表情をしているご本人を前に、何かできないかなと思う家族さまは非常に多いです。そこで、家族さまにどのような関わりが良いか、そして家族ならではの関りについてお話ししたいと思います。
早く治ってほしい、少しでも喋ってほしいという気持ちはよくわかります。だから「何かしゃべって」「声をだしてみて」と言いたくなるでしょう。責める気持ちでなく励ます気持ちで声をかけているのでしょうが、本人にとって辛いものです。失語症の方は、他人とのコミュニケーションが難しくなることで、非常にストレスを抱えています。打ちひしがれたような気持になり、多くの人が「死にたい」と吐露される場面を見てきました。それほど言葉が話せなくなったことの衝撃は大きいのです。
「言葉が話せないくらいで」とか「大丈夫じゃない」とか「助かったんだから」と、励ますつもりで言ってしまうのですが、その言葉がより孤立感を深めてしまうことがあります。
病棟では、同じ入院患者さんとコミュニケーションが取れない、看護師は忙しそうで話しかけるのも躊躇する、言語室では難しい事ばかりされる(これ、辛いですよね・・・)
せめて家族との時間はほっとする時間であってほしいと思います。これまでの会話の速さで話しかけ、「どう思う?」「はっきりと言って」「言葉に出してみて」など、励ます気持ちであっても、避けてほしいものです。家族さんとの会話が、そのような言葉を強いられる、リハビリのようなやりとりになるのであれば、失語症の方は、一体誰と気軽にコミュニケーションをする機会があるのでしょう。じょうずに話せない自分を見たくない、家族の前ではそんな気持ちの強くなる人も少なくないです。
今は言葉にしたくない、わかってほしい、その想いに寄り添ってほしいものです。
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