オンライン言語リハを初めてよかった~感想を頂きました~

オンライン言語リハを初めてよかった~感想を頂きました~

 

失語症の方に、オンラインを使って言語リハをしたらいいのではないかと思いついたのが、2018年の秋です。コロナ禍で一気にオンラインが浸透しましたが、当時は「は?何それ?」という空気でした。

さて、今回は70代男性と介助者である妻に、オンラインリハご利用の感想を、お尋ねしました!

 

「病院のリハビリが終了してから利用しています。時々、オンラインだけでなく対面のリハビリをうけるために通っています。併用だと無理なくリハビリの回数を増やすことができて便利だと思います。初めは、アプリを入れたりなどのスマホの操作に抵抗感がありましたが、練習すれば簡単にできるようになりました。 オンラインだと時間を有効に使えてうれしいです」

こちらのご利用者さまは、2019年に三菱財団の研究助成金で、オンライン言語リハについて研究をしていたときからのお付き合いです。もともと、別のところで外来リハを受けていたのですが、なんと!ぜんぜん有効でないリハプログラムで、ご本人が2回目で拒否、知人を通して私に連絡があったのです。

いや・・そのプログラムはあまりにひどかった・・

同じ言語聴覚士としてごめんなさいです。当時は、対面式でリハを行っていました。オンラインをおすすめしたものの、高齢者である本人も、さらに介助者である妻も、操作に不安があり、対面式でリハを行うときに、なんどかスマホで操作確認をしてもらいました。操作に不安があったものの、ご本人は新しいことに興味深々で、とても積極的でした。その後、妻の親が倒れ、病院にお見舞いなどもあり、対面式が難しくなり、本人が体調を崩したり、そうこうしているうちにコロナ禍です。「早めにオンラインで言語リハを始めていて良かった」と言われていました。

さて、この男性は、かなり重度のブローカ失語症です。相手の会話はだいたいわかるのですが、自分が何か伝えようと思うと、言葉にならない。リンゴと言おうと思っても「り」も「ん」も「ご」も出てこない。そこへきて、発語失行という、音を出すための唇や舌の動きを作れない、脳が指令を出してくれないので、どうやって動かしたら、音がでるのかわからない。こういう失語症の症状でした。

コツコツ実施したプログラムは以下の3つのステップから成り立っています。

1 簡単な挨拶

「おはようございます」「ありがとうございました」「さようなら」とその場にあわせた挨拶だけでなく、

「今日のお天気はどうですか?」と尋ねて「雨です」「晴れです」
「昨日はどこかに出かけられましたか?」に対して「はい、~です」「いいえ、行きません」
「朝ごはんは何を召し上がりましたか?」に対し「コーヒーとパンです」

等、ちょっと人とお会いした時に、まず口に出すようなやり取りです

2 Yes NO の表出

言葉を発するのが難しくても、相手の質問に「はい」「いいえ」をはっきり答えることができたら、なんとなく会話は通じます。でも、何か答えようとして、「はい」「いいえ」の表出がおざなりになるのですね。この癖を身に着けてもらうことも大事なリハです。

3 絵カードを使っての会話練習

絵カードは、その絵にかかれているものの名前をいう練習に使いますね。これを呼称といいます。でも、結構、失語症の方に評判が悪いですね。馬鹿にされた気がする、つまらない。そんなことをよく聞きます。
そこで、絵カードを「共通の話題」として使ってみると良いですね。「右手で持ちますか?」「日頃、使いますか?ボールペンのほうが多いですか?」など。食べ物は話題が発展しやすいですよね。また動詞を組み合わせで、文章を作ってもらうのも行っています。「鉛筆」なら「鉛筆で・・書く」とか「鉛筆を・・削る」とか。

 

オンラインですから、非言語コミュニケーションが制限されます。なので、なるべく楽しく取り組めるように、日々工夫をしています!
「訓練をしている」よりも「お話をしに来ている」そんな雰囲気を作りながら失語症の症状にあわせたリハプログラムを検討しています。

 

私の活動をご紹介

 

LEAVE A REPLY

*
*
* (公開されません)

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください