失語症の方がいる家族さんへ~家族と他人とのコミュニケーションの違い

失語症の方がいる家族さんへ~家族と他人とのコミュニケーションの違い

社会的に孤立してしまい、会話の相手は家族さんだけ・・そんな失語症の方は少なくないですね。でも、家族との会話って、想像したらわかると思いますが、多くは「あ、うん」でわかってしまうことが多くないですか?

 他人と「話す」場合、例えば、「ありがとうございます」「コップ・・(を取ってください)」と言葉にだすのに、家族が相手だと、何も言わない。家族もわかっているから、あえて「何?」と尋ねない。こうして、発話する機会が激減してしまいます。さらに言えば、他人であれば「わかってくれたかな?」と相手の表情を読み取って、他の言い方を試みたり、なんとか正確に伝えようと努力します。でも、家族が相手だと「なんでわからないんだ!」となりがち。

 他人と「聞く」場合、相手がなんと言っているのか一生懸命、理解しようとします。失語症の方は、表情やその場の状況などの非言語情報を最大限に活用して、言葉での理解が難しいのを補おうとします。でも、家族さんとは、そこまで全力で聞こうとしないですね。「わからん!」というジェスチャーなどで終わってしまうことがあります。

 このようによくも悪くも、家族が相手だと最大能力を発揮してコミュニケーションを図ろうとしない傾向があります。家庭内のコミュニケーションに対して、全力投球しないのは、失語症の方だけではありませんね、私たち、普通、そうですよね。とても重度の失語症の方の奥さんが「別に困りません。だって、この人、これまで、うんとか、あれとかしか言わなかったんですよ」と仰ってましたが、ここまで極端でなくても、似たようなご家庭は多いのではないでしょうか。れが悪いというのではなく、違うというだけです。

  なので、なるべく他者との会話の機会を作って頂きたい。デイサービスやデイケアでも、おなじ障害をもつ人で集まる「友の会」でも、最初から交流ができないかもしれませんが、少なくとも周囲の人から刺激をもらい、周囲の人の声に耳を傾けます。ちょっとした挨拶なども交わすでしょう。時々、失語症からと言って、本人に確認するでもなく、これまで交流があった人とのやりとり断る家族さんがいます。ケアマネさんとの話し合いなど、初めから参加することを思いつかない家族さんもいます。言葉によるコミュニケーションが難しくなったからといって、身近にある社会的交流を、初めから奪うことがないようにしたいものです。

私が知っている方は、発話に重度の障害が残っていますが、コンビニも1人でいきますし、コロナ禍の前は飲み会にも行っていました。奥さんが「どうしてるんでしょうか?」と不思議に思っていましたが、結構、できるのです。特に、電車やバスに乗ることなど難しいと思いがちですが、そんなことはありませんし、そうして外出すること、乗り物に乗ることという生活、暮らしそのものが、リハビリになることもあるのです。

「みんな、出さへんねん・・出ろよ!って思う。でたらなんかあるって。家にいたらなんもない」

これは失語症漫才で活躍中の森さんの言葉です。なんと彼は、大阪のJR環状線にずーっとのって、周囲の人の話し声をじーっと集中して聞いているうちに、失語症が改善してきたといいます。今はみんな黙って座っていますが、たいてい、おしゃべりしていますからね。でも早口なの!これを聞き取って練習ってすごいと思いました。確かに、おもしろいだろうけど。

なんとなくできてしまう環境から、本人だけでなく、家族さんも勇気をもって一歩踏み出してほしいなと思います。

安全策として、ヘルプマークや緊急連絡先などを書いた紙を持ってもらい、自立できる外出方法を考えてみましょう。初め遠くから見守っていてもいいのですが、出かけたい時に一人で出かけられるということは、社会的自立に向けた大きな一歩です。そして、家族さんの負担も軽減します。車いすユーザーで、公共交通機関を使用することが難しいと思われる場合は、ガイドヘルパー利用することもできます

使わないと低下する、これは身体も言語も同じです。

私の活動をご紹介

すべての人が、自分らしく社会参加できる、自分の力を活かして稼げる「幸福な経済圏」が作れたらいいなと思って活動しています。

  • 当事者の社会参加と家族ケア・啓発活動
    NPO法人Reジョブ大阪
  • スマホやタブレット、PCで!言語聴覚士によるオンライン言語リハビリ
    くるみの森 オンライン言語リハ
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  • 当事者、支援者、家族がともに学び合うオンラインサロン
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    現場19年、大阪の元気な言語聴覚士が、患者から学んだ人生の処方箋。
    コロナ禍の中、先行き不透明な時代にこそ、多くの方に読んでほしい!
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