医療職が脳卒中になった時~高次脳機能障害・失語症の方の当事者インタビューより~
ルポライターの鈴木大介さんと、高次脳機能障害・失語症の方を対象にインタビューをして、冊子を毎月発行しています→「脳に何かがあったとき」
今回は、薬剤師のSさんを取材した感想です。
医療職は学習意欲がより高い?
医師である山田規久子さんが書いた「壊れた脳 生存する知」は、医師の視点でご自身の症状を観察し記述した本です。背景にある高次脳機能障害とは何かを探求したい一心で、第一人者であった山鳥重先生から学び始めます。脳出血を患った脳外科の医師が、この本を読みながら「山田さんは、これはなんだろう?と楽しんでいる気がする。僕も、そんなところがある」とおっしゃっていました。
医療職の人は、職業柄「一症例としての自分」を観察し、病気や障害について探求する傾向があるのかもしれません。
今回取材したSさんは、大学病院にお勤めしていた薬剤師さんです。発症のきっかけは「夏場の脱水」と理解し、後遺症である高次脳機能障害についても勉強を始めます。ショックを受けるかもしれないと、曖昧にしか説明しない医療職もいますが、学びたいという思いがある患者さんには、その気持ちを信じて、しっかり伝えるべきだと思います。むしろ「一緒に学ぶ」姿勢がよいと思います。同じ情報をみても、感じるものは違い、そこから私たちが学ぶことは多いはずです。
職業病がプラスに働く?
そして、「入院している他の人が気になる」のも職業特性かもしれません。発症してすぐに入ったICU(集中治療室)では、隣にいる失語症の人の症状を観察し、他でアラームが鳴れば「看護師さん、早く早く」と気になります。リハビリが始まれば、他の人と自分のプログラムがどう違って、なぜなのか考える。復職に際しても、「現職復帰」にこだわる人を見ては「再発リスクがわかっていないのかな?」と首をかしげる。他の患者さんの個人情報に触れない程度に、医療的なお話を一緒にするのも、患者さんであり医療者でもあるご本人のアイデンティティを尊重した関りになるのではないでしょうか。
最後に、
「同じ障害を持つ人に、医療職として貢献したい」
こういう思いがある人も多く、執筆、講演、セミナー、ブログ、SNSなどで発信されています。(言語聴覚士の当事者セラピスト関啓子先生のFacebookはこちら、理学療法士の当事者セラピスト小林純也先生のYouTube チャンネルはこちら)「先生は他人事だからわからないんです!」と感じる患者さんにとって、とても心強い存在でしょう。当事者であり医療職であるSさんのような方がピアサポートとして活躍できる仕組みが、急性期から生活期にわたってできると良いなと思います。
おしらせ
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高次脳機能障害に関するセミナーや動画インタビュー記事が読めるオンラインアカデミー チーム脳コワさん
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