高次脳機能障害学会発表に向けて~その2~

高次脳機能障害学会発表に向けて~その2~

皆さん、こんにちは。

この度、高次脳機能障害学会に2演題応募いたしました。一つは「失語症の方の家族」について。もう一つがこちら、「軽度の失語症の方へのオンライン言語リハビリテーション」です。今回のブログでは、どのような内容で発表を予定しているのか、その概要をご紹介させていただきたいと思います。

「一見大丈夫そう」でも実は困っている方たちへ

軽度の失語症をお持ちの方々について、こんなことはありませんか?

「日常会話は普通にできるけれど、職場での会議では思うように発言できない」 「雑談に入っていけない」 「報告や相談がうまくまとまらない」

実は、このような悩みを抱えている方がとても多いのです。昨年、私たちが68名の就労継続者の方にお話を伺った際も、多くの方がこのような困りごとを教えてくださいました。

制度の「はざま」で見過ごされがちな課題

軽度失語症の方々は、医療・介護・福祉制度の「はざま」に置かれがちです。日常会話に大きな支障がないため、「もう大丈夫」と判断されてしまうことが多いのですが、実際の職場では様々な困難を感じていらっしゃいます。

そこで私たちは、実際に軽度失語症の方の会話を録画・分析させていただきました。すると興味深いことが分かったのです。発話量は十分あるのですが、語の多様性や文章全体の構成に課題が見られることが明らかになりました。

「型」を活用したアプローチ

この分析結果をもとに、私たちは新しいアプローチを考案しました。それは「会話のフォーマット(型)」を活用するという方法です。

会議での発言や報告、日常のエピソードを話す際に、あらかじめ決められた「型」に沿って話していただくのです。すると、構成を考える負担が軽減され、相手により伝わりやすい話し方ができるようになることが分かってきました。

オンラインだからこそできること

このプログラムを、オンラインで実施しているのにも理由があります。

働いていらっしゃる方にとって、通院時間を作るのは本当に大変です。でもオンラインなら、お住まいの地域に関係なく、お仕事の合間にも参加していただけます。

実際に参加された方からは、「会議に参加できるようになった」「発言ができるようになった」「雑談に入れるようになった」といったお声をいただいています。

新たな支援の選択肢として

今回応募した演題は、「軽度失語症者に対するオンラインを利用した言語リハビリテーションと就労支援~会話分析に基づくプログラムの実践~」というタイトルです。

まだデータ数は少なく、これからさらに検証を重ねていく必要がありますが、制度のはざまにいらっしゃる軽度失語症の方々への新たな支援の選択肢となれればと考えています。

一見「大丈夫そう」に見えても、実は困りごとを抱えていらっしゃる方は少なくありません。そうした方々に寄り添える支援を、これからも模索していきたいと思います。

採択されるかはまだ分かりませんが、もし発表の機会をいただけましたら、また詳しい内容についてもブログでご報告させていただきますね。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

私の活動

 

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