ことばの段階について②~失語症と高次脳機能障害の言語リハビリ~

ことばの段階について②~失語症と高次脳機能障害の言語リハビリ~

ことばの段階について、前回の記事では、時間・空間ともに身近でないにしても、よく知っていることを具体的に話す段階まで進みました。他人と話すときのちょっとした質問に答えられるレベルですね。

ちょっとした会話とは?

私たちが他人と話すとき、アイスブレークとして交わすような内容です。例えば、

どんなお仕事ですか? に対して

「印刷会社で営業をしています」

趣味はなんですか? に対して

「映画が好きです。最近はネットフリックスでみています」

みたいな感じでしょうか。

でも、これでは相手が、都度ことばを投げ返さないと会話が弾みませんね。

会話が続かない原因

もっと伝えたいことがあるのに、こうして会話が続かない原因は

1 言葉がでてこない

2 思考が拡散しない

この2つの要因があります。

上にかいた会話で「ネットフリックス」の発話が出てきているのは

映画→見るシチュエーションと思考が拡散したからです。

言語療法での例をお伝えします

では、会話が広がらない場合、どうしたらいいの?を知りたいですよね。今日は1に対してでなく、2に対してのアプローチをお伝えします。

言語聴覚士(ST)が質問することで、思考の拡散を促します。

「映画です」に関して

好きな映画、期待はずれだった映画、見逃した映画はありますか?←これは映画のタイトル(何)です

よくいく映画館はありますか?どんな時に映画をみますか?みたくなりますか? ←これは映画鑑賞のシチュエーション(場所や時間)

誰とよくみますか?一人でみますか?←これは人(誰)

こうした5W1Hにそって質問していきます。ちなみに5W1Hとは「いつ(When)」「どこで(Where)」「何を(what)」「だれが(Who)」「なぜ(Why)」「どうやって(How)」のことです。

これにそって質問してもらってから、相手が答えた内容をもとに、STがフィードバックします。

「~さんは、ネットフリックスを週末一人で見ることが多いのですね」「スターウォーズの大ファンなんですね。前回は見逃して残念でしたね」というように、会話の例を呈示するために、フィードバックします。

5W1H 仲間外れはどれ?

ここで、「何、そこで、いつ、誰」は具体的な答えが可能である質問であることに対して、5W1Hの「なぜ」は、抽象的思考が必要な質問です。なのでレベルが一つ上になります!結構、気軽に「なぜですか?」と聞いている場面を見ますが、これ、難しいですから。他の質問にすっと答えられない失語症の人に対して、なんとなく会話の流れでのノリで聞かないようにしましょう。

あと!以前、オンライン言語リハビリを見学して頂いた浮田弘美先生に指摘されたことですが、「STが話をし過ぎていないか」気を付けましょう!

半分、あなたがしゃべってるやん!ってならないように。あくまでも失語症の人の会話を引き出すためですから。ここめっちゃ気にしてくださいね。

 

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