ことばの段階について〜失語症と高次脳機能障害者に対する言語リハビリ〜
簡単な会話を話せるようになった失語症の人、または高次脳機能障害の人は
「大丈夫、言葉は出ていますよ」とか「ちゃんと話せていますよ」と言われることが多いですね。
不安になっている人に対して、安心してもらうために「大丈夫ですよ」というのはとても大切です。でも、もし、本当に簡単な会話ができれば、失語症や高次脳機能障害の方への言語リハビリはOK、終了!と言語聴覚士が思っていたら、それは大問題です。
相手に伝える情報量も質も違う
- まず伝達機能として最もプリミティブなものが、身体や感情に関するものです。
痛いとか
嫌だとか
生命維持に関するものです。
よかった!とか
ほんと?とか
感情を伴うもの
- 次に、目の前にあるものの名前を言えるかどうか?いわゆる呼称、名詞ですね
コップとか本とかです。レベルが変わりますが、目の前にないものの名前を言うときがあります。これが語想起です。「太陽」とか「アメリカ」とかもあります。
- 少し進んで、目の前の状態を表現できるか?形容詞とか形容動詞を使います。
急いで歩いている
よく晴れている
楽しそうに笑っている
などです。
- 次に、いまは目の前にないけれども、時間、空間ともに身近なことを具体的に話せるか?
お昼ご飯に何を食べたか
隣の部屋には何があるか
何病院に通っているのか
家から駅まではどうやって行くのか?
- 次に、時間・空間ともに、身近でないにしても、よく知っていることを具体的に話せるか?
会社名や、どんな仕事をしているのか?職種や業務内容です
学校名や、どんな科目が好きで、苦手なのか?クラブは何をしているのか?
自分の趣味は何か?
好きな食べ物は何か?
行ってみたい場所はどこか?
この辺りまできても、親しい人との、日常会話レベルです。まだまだ社会的会話には至っていないのです。では社会的会話とは?次回にお伝えします。
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