失語症者の生活のしづらさについて〜言語聴覚士のお仕事〜

失語症者の生活のしづらさについて〜言語聴覚士のお仕事〜
介護のお仕事をされている方向けに失語症と高次脳機能障害についての講義をしてきました。その時の資料をもとに、数回に分けて書いていきます。

失語症・高次脳機能障害者の人数

脳卒中や頭部外傷などいわゆる脳血管疾患の後遺症の中に、失語症、高次脳脳機能障害があります。身体の麻痺と違って、障害が目に見えないため誤解されやすく、まだまだ知られていない障害です。しかし、現在失語症は推定20〜30万人、高次脳機能障害は50〜80万人と言われています。推定・・それは診断がついていない人がたくさんいる現状を表しています。

失語症者の復職について

平成25年に全国失語症友の会連合会が実施したアンケート調査によると(対象:失語症友の会会員、医療機関や介護保険施設で言語リハビリ継続中の失語症の人と家族)
  • 失語症の人は男性が8割を占め
  • 20〜50歳代の働き盛りに発症した人が6割以上
  • その7割が発症時は主たる生計維持者
  • 脳血管疾患の社会復帰率は4割〜5割、ただし失語症や高次脳機能障害を合併すると1〜2割と格段に低下
なぜ復職率が低いのかというと、
現代社会ではコミニケーション能力が非常に重視され、単純な労働作業、工場等は海外に移転しているし、外国人労働者も入ってきております。
情報化社会に伴い携帯電話やパソコンなどのIT機器の操作も必要、言語やコミニケーション能力の果たす役割の重要性が非常に高くなっている中で、自分の考えや思いを言葉で表すことが苦手な失語症の方には非常に復帰が難しいのです。これは軽度の発達障害の人にも言えます。20年前、ある小児専門の先生が言ってました「農業がもっと盛んならいいのよね。黙々と作業をして食物を育てる。管理する人がいれば、いくらでも仕事ができる子供達はいるのに」

失語症者と家族における生活上の困難さ

失語症とは、何度もブログに書きましたが、いちど獲得した言語機能が脳損傷によって障害され、「聞く・話す・読む・書く」の4つが困難となるものです。
障害される脳の部位や広さ等により、症状や重症度は一人一人が異なりますが、言葉に障害が残っても、認知機能全般は残されています。
私たち支援者は体が麻痺があると介護が大変だなと言うイメージがつくのですが、実は言葉でのやりとりが難しい場合、家族の介護負担感は非常に大きいと言われています。当然本人のストレスは非常に高く、鬱症状を呈することも多くなります。
話す相手が減少し、社会的な孤立が問題となります。
失敗体験が続くと、人と話す機会に自ら参加する意欲が低下し、気がつけば話す相手は家族だけと言う方も少なくありません。
少し考えてみるとわかりますが、家族との会話は「あ、うん」の呼吸で通じることも多いし、家族が失語症の方の意図を察する能力が上がってくるので、あまり言葉を発しなくても通じるところが多くなります。
そうするとどうなるか?リハビリで一度獲得した言語機能が低下することも少なくないのです。何のために頑張ったのか・・と思いませんか。
英会話を想像してみてください、会話の機会があれば頑張れるし、身につきますよね。でも機会もなく話す相手がいないと低下します。受験英語が意味がなかったと実実家している人も少なくないはず
まったく同じことが、失語症の人にも言えるのです。

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