脳卒中後のリハビリをサポート!「脳ケアゼミ」
この記事は長いです。長いのが苦手な方向けに、短縮版も書きます。まずは、リハビリ兼ねて少しずつでも読んで見てください。
医療に頼ってはだめ
長年、医療と介護の現場で言語聴覚士として働いてきました。そして、この数年、制度の限界を感じ始めました。
診療報酬に翻弄される現場。
3月には4月1日に改訂される診療報酬の情報が流れてきます。何をしたらいくらの点数がもらえるのか、これまでより増えるのか、減るのか。「点数=法人の収入」なので、削減されるものは、実施しない流れになります。ではどうなるか?
3月31日まではできていたことが、4月1日にはできない。こうした説明を、3月の半ばから患者さん、利用者さんにしていきます。例をあげると、1月に「4月にはこれを目指しましょう!」って言っておきながら「3月で終わりです」ってことです。
反対に、より多くの診療報酬をもらうために、3月内に実績作りに入ることもあります。リハビリが必要な人には終わりと言いながら、実績作りに必要な場合は「せっせとリハビリ」をします。しかし、法人は利益を出さないと潰れちゃうので、目をつぶることにします。
リハビリ難民って知っていますか
国の財源が潤沢でないのだから、法人も生き残らなくてはいけないから、ま、それは理由として理解したとしましょう。
しかし!厚生労働省が「これは、除外ですよ。期限なく実施してもいいですよ」と、わざわざ言っているものでも、一律、終了することが少なくありません。
特に、私が関わっている言語機能の障害、失語症や高次脳機能障害は、回復までに時間が非常にかかるだけに、治る可能性がまだまだあるのに「終了」です。期限はないのに!
いや、そもそも、診断されていない人もたくさんいます。診断されてない??って、驚くかもしれませんが、そんな人はたくさんいます。「意図的に診察しないと診断の見過ごしがある」と論文にもまとめられています。診断がついていても、しっかり説明を聞いていない人もいます。退院したあと困っている人はたくさんいます。
ますます加速するであろう、今後の予測
この仕事について約20年、言語聴覚士の分野はもともと診療報酬が低かったので、若干、上がってきましたが、それも理学療法士や作業療法士という他のリハビリ職と足並みがそろっただけです。リハビリ全体については、年々、診療報酬は下がって、期限は短縮されています。表立って「削減」となくても、診療報酬を提出したときに、「返礼」と言ってこれは不要じゃないですか?って問い合わせが来て、報酬カットです。そうなると、以後、ほとんどできないです。私たちは、ボランティアでなく、仕事なので。善意で「必要だから」と実施する職場はそう多くありません。
今後、この流れは加速こそしても、逆行はしないと思います。だって、あれだけ医療財政は赤字なのですから。
本来のリハビリテーションとは
日本にリハビリテーション医学が持ち込まれたのが、1960年代、言語聴覚士の領域については1970年に本格化します。第一人者であった上田敏先生は
「リハビリテーションとは、全人間的復権」であると述べています。その人らしく、社会に戻るためのものです。しかし、多くは「機能訓練」だと思われています。
機能とは「そのものが担っている働き」です。脚であれば、立った時に体を支える、移動の時は、前後に動かし進むという働きです。言語であれば、言葉を聞く、声を発するなどです。
能力とは「できること」です。移動ができる、会話できるなどです。
いくら機能訓練をしても、この能力が改善しないと、生活の中で活かすことができません。極論を言えば、機能障害「歩けない」「話せない」があったとしても、いかに能力を改善できるか、生活能力が上がるか、例えば、「移動でき」「意思疎通が図れるか」が、リハビリテーションの肝であると思っています。
リハビリテーションは、日々の生活の中で。本人主体で
これまでの医療や介護は、どちらかと言えば、「支援」「できないところをサポートする」が主流、いうならば一方向です。しかし、これからの医療・介護の事情を考えるにこれは限界が見えています。
「自分のことは自分で決めたい」という意思決定の問題もあります。リハビリを継続したいのにない。「プラトーですよ、改善しませんよ」と言われても、納得できない、そんな人へ自費のリハビリテーションを提供する場所が増えてきました。これは選択肢が広がったという点で歓迎すべき流れであると思います。しかし、そこへ通えるのは、経済的に、または利便性に恵まれている一部の人です。多くの人は、諦めたくなくても諦めざるを得ない状況です。
本当は、リハビリテーションとは、病院内でなく、リハビリ室でもなく、その人の生活の中にあるのが理想です。生活の中で、何ができて、何が難しくて、そしてどうしたら生活しやすくなるのか?最も重要なのは「自分らしく生きられるのか」を、本人、家族、支援者がともに考え、実行することであると思います。
脳の可塑性と、それを阻むもの
脳は非常に重要な働きを担うため、バッファーが多く(通常、数%しか使っていないと言われています)可塑性に富む器官です。特に人間の脳は、非常に複雑に発達しているので、一度、傷ついても、他の場所が代償しようと働き始めます。それも直後だけでなく長期に渡り、代償しようと働きます。これが脳の可塑性です(元に戻る)
なので、長期に渡り、進行性疾患でなければ、障害は改善します。
しかし、ここで邪魔するのが、廃用と言って「使わないことによる退化」です。使わないから、機能が低下するのです。
わかりますか?いくらリハビリテーションをしても、生活で使わないと悪化します。
反対に、使えばたとえそれが緩やかであっても回復していきます。機能が改善しなくても能力が改善する人はたくさんいます。
え?この人、こんなことできるの?という人は、たくさんいます。
え?数年たってるのに、良くなっている!という人もたくさんいます。特に言語に関しては長期回復の論文はたくさんあります。
知る権利、学ぶ権利、選ぶ権利を
私がNPOの活動で出会った多くの人は「自分の障害について知りたい」「同じ障害を持った人のことについて知りたい」「他の家族と情報交換がしたい」と言っていました。そもそも自分の障害について知りたいのに「情報がない」のが現状で、知りたいという思いに、体系的に答えるコンテンツがないなと感じています。
- 知りたい人が手軽に情報に触れる
- 自分の障害について、何ができて、何が難しいのか、そして今後どうなるのか、そんなことを学びたい人が、学べる
- 継続してリハビリを受けたい人が、低コストで、住居を問わず、受けることを選べる
そんな知る権利、学ぶ権利、選ぶ権利を尊重できるシステムがあるといいなと、長年、考えていました。そこでインターネットを使ったリハビリテーションの学びの場を考えました。
学んで、周囲に伝える、社会参加を目指して
私は、長年、高次脳機能障害者の社会復帰支援において「障害を知る」「今の自分を知る」「周囲に伝える」ということをメインに行ってきました。なぜなら、周囲の人の理解は、社会参加に必須だからです。一見、全く問題がないように見える高次脳機能障害や失語症の人でも、完全に回復したと思える人でも、ライフステージの変化、環境変化で、「あれ?」とおもう場面がないとは限りません。
そして、今はいないかもしれませんが、いずれ、同僚が、知人が、同じ障害を持つかもしれません。なんと言っても脳卒中は毎年25万人が、新規発症です。他にもパーキンソン病など進行性疾患、認知症も含めると、脳を損傷した人は膨大な数に上ります。
なので、今、障害を持っている人が、自身の障害を学び、周囲に伝えることは、他の同じ障害を持った人への助けになります。自身の社会参加だけでなく、同じ障害を持った人の社会参加を促すことにつながります。
独学よりもコミュニティラーニング
私たちは、1人で学ぶよりも、コミュニティ・仲間で学んだ方が、学びの幅が広がります。リハ職とご本人に1対1だけでは生まれない、相乗効果が期待できます。
目指すところは、当事者、家族、支援者で、お互いが学び合う「フラットなコミュニティラーニング」です。そこで起こる相乗効果を期待しています。
お互いが学び合う、それが脳ケアゼミです。
一方向に伝えるセミナー形式でなく、教授や助手や学生が入り混じって学ぶゼミをイメージして名つけました。
自分のペースで、そして仲間と。ハイブリット型の学び
そう言っても、生活環境により、障害の程度により、インターネットを使って一斉に学ぶことは限界があるので、動画を提供し、ご自分のペースで何回も見ることができます
質問や感想は、メールやLINEで送ってください。それが私たちの学びになります。
毎週月曜19時~理学療法士の中窪さんの体操
毎週金曜19時~言語聴覚士の西村の発語・発声・脳トレをしています。
毎月1回の、無料よろず相談があります。気軽にご参加ください。
自分のリハビリを他人の手に委ねない
自分の障害を知り、できることを増やし、そして、周囲の人に伝え
みんなで生きやすい社会を作っていけたらいいなと思っています。
支援職の方も大歓迎です。当事者、家族さんから、学ぶことがたくさんあります。
講座の内容を、ご自身の担当している方への情報提供にもご活用ください。
そして興味がある人は、気軽にラインに登録してくださいね!お待ちしています。
LEAVE A REPLY