軽度失語症の方の困りごと
軽度の方から聞く困りごとは「普通に見えてしまう」が最も多いようです。コミュニケーションは相手があって成り立つものなのですが、その相手に「会話に不自由している」ことが伝わらないので、配慮されにくいのです。
問題がないと思われてしまい、「失語症があります」と伝えても、相手が忘れてしまったり、「もう治ったよね?」と決めつけられたり。
でも、こんな場面では本当に難しい
- 複数の人との会話や会議。Aさんの話を聞いて、それを理解し何か自分の意見を考えている間に、もう話はBさんに移っている。そのBさんの話を理解しようとしている最中に、「どう思う?」と発言を求められる。
- 理解しながら、思考して、それを即時に言語化して伝える・・なかなか至難の技です。さらに、次々、違う相手に注意を向けなくてはいけないので、そもそも脳に負荷がかかり、ついていけない。
- 周囲がガヤガヤしていたら、その雑音を消すのも大変、また一部の人は、聴覚過敏と言って、これまで気にならなかった雑音が「大きな」おとで感じられる。
鈴木大介さんはこんな表現をしています
たとえば、以前、全く感じなかった「カフェでラテを泡立てる機械の音」。病後は店の端っこからでも轟音に感じて、人の言葉も自分の考えていたことも全部ぶっ飛ぶようになってしまった。あれは確かに大ボリューム化という言葉にフィットします。
- できる時、できない時がある。静かな場所ならできても、うるさいところでは相手の話が入ってこない。疲れたり、眠たかったり、急いでいたり、要は、相手の話に全力で集中できない状況の時など、難しい。相手にしてみたら「聞いてないの?」と誤解される。
- 知的機能に問題はないのに、言葉がスムーズにでないために、知的機能を低く見られることがある。「わかってます?」という傷つく発言をされた話はよく聞きます。難しい話の時には、勝手に蚊帳の外に置かれてしまったり。これはかなりショックです。
- 電話対応は、いつまでも難しいものです。顔が見えない、相手の音声だけで聞き取りしなくてはならないし、音声も対面よりも少しくぐもって聞き取りにくいですよね。
私が、一番、問題だと思っているのは
失語症の方は、できていることに気が付きにくいことです。喋れないってことが気になって、今、できることに気がつきにくい。結果、自己肯定感が下がりがち。
もっと自信を持って欲しいといつも思います。
では、どうしたらいいのか?そもそも軽度の人向けに確定されたリハビリプログラムはありません。そして、言語聴覚士と1対1で、言語室で、「聞く」「話す」の言語の練習だけをしていても、改善は難しいと思っています。
だって、軽度の人は、こうした環境では、ほぼ問題なく、会話ができますから。
続きます
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