メモを取るコツ〜失語症と高次脳機能障害者に対する言語リハビリ〜
昨日は、軽度の失語症の方の困りごとについて書きました
では、どうしたらいいの?について、今日から書いていきます。
まず、よく言われるメモについてです
言語聴覚士として、たくさんの人を見てきましたが、教科書に書いてある通りにいかない最たるものが、メモです。簡単に「メモを利用しましょう」とありますが、いやいや・・・というのが現実。
メモを取るために必要なこと
メモを取るとは
- 話を聞きながら
- メモする単語を思い出しながら
- その文字を思い出し
- 手を動かして文字を書く
これだけたくさんのことを同時にするのが、メモを取るために必要です。失語症・高次脳機能障害の方にとってはむつかしいですね。
そもそも右手麻痺の方は、手を動かすことも難しいですし。本当に、たくさんハードルがあるのです。
- 失語症の人は、文字を思いつくまでに時間がかかりますし
- 高次脳機能障害の人は、注意や記憶の低下により
聞くことに集中していると、手が止まる
文字を考えているうちに、話が進んでしまう
そもそもどこまで聞いていた??ということになってしまうし
- 遂行機能が低下していると
要点を抽出するのが難しいですね。一気にすべて書こうとする人がとても多いです。
メモにはすべて書かなくてもいい
メモはすべて書きとる必要はありませんね。記憶の手がかりになればいいのです。記憶は
- 再生・・手がかりがないものを思い出す
- 再認・・手がかりをもとに思い出す
どっちが簡単か?もちろん再認ですね。だからメモは
再認のために取るのです。
メモした言葉から芋づる式に、記憶を引っ張ってきたらOK
メモを取るコツ3つ
- キーワードだけメモする
動詞は省いてもOK
雨が降って電車が遅れました→雨、電車
- 名前は忘れそうならメモする。親しい人は省いてOK
山田部長が、金丸商事に行って話をしてきました→山田、金丸商事
ママ友と、花丸カフェでランチ会→花丸カフェ、ランチ
- 数字は覚えにくいのでメモする
5月24日 13時から丸の内ビルで、鈴木課長を待ち合わせ→5月24日 13時 丸の内ビル 鈴木課長
3万円引き出し、5400円の支払い→3万、5400円
日常でできるメモを取る練習
- 自分が苦手なもの何か?を知っておく
- 何が重要な情報なのか?を意識して、人の話やニュースを聞く
- ラジオやニュースを聞いてメモをしてみる。ネットのニュースをまとめるのも、要点を抽出する練習になります。
そうしたことを日常でコツコツ積み重ねていきましょう。
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