発達障害と高次脳機能障害について~情報処理~
先日、「高次脳機能障害者は何に困っているのか?」をテーマに、リハビリテーション医学のレジェンドである上田敏先生と、高次脳機能障害の当事者である鈴木大介さんの対談がありました。とても貴重な映像なのでぜひご覧くださいね!私は、司会をしています。
対談はこちら(株)gene のチャンネルで!
共通するのは情報処理における問題
私たちはつねに外界の情報をインプットし、脳内で処理をして、そして適切な言動としてアウトプットしています。
目の前に階段があります。その高さを目でとらえ、「あ、このくらいの高さの階段だ」と認知して、ではこのくらい足をあげようと判断して(無意識ですけどね)、で、ひっからない程度に足をあげて階段を上っていきます。
ちょっと高度なものになると
相手が話す声が聞こえます。言葉の意味だけでなく、相手が何を伝えようとしているのか前後の文脈や表情や声の高さなどから判断します。そして、どんな言葉で、どんな文章で伝えたらいいのか頭の中で組み立てて、話を返します。これが会話のやり取りですね。このあたりになると、意識して行っていますよね。
さて、発達障害や高次脳機能障害のように、情報処理に問題が生じると、こうした高次の情報処理が困難となります。
「ぱっときいて理解」して、「ぱっといい言葉をかえす」ことが難しくなります。
- え・・これって、どういうこと?
- え・・何を言ってるの??
- え・・どういったらいいんだろ?(判断できているが、伝え方がわからない場合)
- え・・どうしたらいいんだろ??(そもそも判断が難しい場合)
で、で、上手くいかない状況でパニックになってしまい、なんとかしようと全力でがんばってけれども
相手からみた僕は「ボケっとして見えた」「ただ不機嫌そうに見えた」そうなのです。
かなり理不尽ですよね
発達障害と一緒だ!
鈴木大介さんは、病前の取材で、発達障害の人と関わっていました。なので、このパニック状態が
発達障害の当事者(特に自閉症者)の不自由と酷似している
と、気づきます。
この日の対談で、上田敏先生は「そのパニックになった状態は、外の人から見てもわからないよね」と言ってますが、私、はっきり言いますが
わかります!
実は私は学習障害のある息子を育てて来ました。だからわかります
表情が固まって、目が止まる
こちらを見てなくて、1点でとまる。でも何かを注視している様子でもない。だからボケっとして見えるのかもしれませんが。
こういう時は、頭が白くなっている、つまりパニックになっている状態です。
「えっと、いま、なにか、困ってる?」と声をかけましょう
ゆっくり相手の反応を待ちましょう
発達障害のお子さんを育てている親御さんへ
お子さんがパニックになっているときはせかしてはダメですよ!情報処理が追い付いていないのだから。
「もう聞いてるの!」とか「なんか言ったらどうなの!」とかご法度。ますます不安になって、パニックになります。
ゆっくり接するのもそうですが、これからのことを考えて
「こういう時は、相手にちょっと待ってと、言ったらいいよ」と、少しずつ、教えてください。
なかなかこの状態になったら、自分からヘルプを出せないのですが、繰り返し促せば、言えるようになる場面が増えます。
鈴木大介さんが
「あ、ちょっと待ってもらえますか?」「もう少しゆっくり話してくれますか?」とお伝えしている場面をよく見かけました。
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