ぺらぺら話すけど伝わらない(流暢性)失語症の方とのコミュニケーション~言語聴覚士のお仕事~

ぺらぺら話すけど伝わらない(流暢性)失語症の方とのコミュニケーション~言語聴覚士のお仕事~

失語症は大きく分けで2タイプ、非流暢性失語症と、流暢性失語症に分けられます。前回は、非流暢性失語症の方とのコミュニケーションについて書きました。では、流暢性の方はどうするか?について話します。

流暢性の失語症とは

流暢性の方は、発する音に注目しなければ、一見、ペラペラと、スムーズに話しているようにみえます。イントネーションも抑揚も、普通に話をしているのと変わりないのです。でも、音が違っていたり、言葉が違うので、実は何を言っているのか、こちらに伝わってこない。例えば「スーパーでアイスを買った」を「りんぱーでいうないすでおいかっし」見たいな感じです。そして、多くは「聴覚的理解」が低下しているため、自分の音や言葉が間違えていることに気がつきにくいのです。もちろん、相手の話も理解が難しくなります。

流暢性失語症の方との関わり方

  • 自分の間違いに気がつかない場合、本人はこれまで通り相手に伝わっていると思っていて、とめどなくペラペラ話している。そのとき、聞き手の私たちが、全然わかってないのに、「はいはい、そうですね」などいい加減で、曖昧な態度で聞いていると、流暢性の方は、自分の言葉が誤っていて、相手に伝わってないんだってことが、いつまでたってもわからないんです。なのでわからないときは「~のことですか」というふうに、きちんとお聞きして下さい。当たり前ですが、「何を言っているかわかりませんよ」など否定する声かけはご法度です。
  • もちろん流暢性の方も、言葉が出にくいと気が付いている人もいます。そうした人は、音を探索というか、「ご、お、じゃない、あれ、こ、これえん、こうえん」という感じでお話されます。こういう時は、会話の中で、公園のこと話してるのかなと思ったら、「公園ですね」と確認してください。そうすると、正しい音、言葉が、失語の方にインプットされますね。
  • 音の違いに着目して、いちいち相手に訂正を求めないほうがよいです。一生懸命に正しい音を探そうとしているのに、指摘されると緊張して余計に謝ることも多いです。(自己修正を繰り返すのが特徴の失語症タイプもあります)なので、一音、一音の間違いを訂正するのではなくて、「リンゴですね」「公園ですね」というふうに、正しい言葉を言ってください。
  • 確実に失語症の方に理解を促したいなと思った場合は、耳で聞いて理解する力が低下しているので、文字を提示するとよいです。このタイプは文字の方がわかりやすい人が多いです。なので、先ほど言った「公園ですね」と言うときは「公園」と文字を書いて見せる。リンゴだったら、「リンゴですね」と言って「こちらで合ってますか」みたいな感じで「リンゴ」と文字を見せる。確実に相手に言葉をフィードバックして、話に行き違いがないように工夫してみてください。
  • 流暢性の方は、相手の話を聞いて理解する力だけでなく、自分の発話に向ける注意が低下していますので、ペラペラずっと喋ってる人もよく見かけます。特に発症して間もないときときは、自分の行動、発話に注意が向かないので、ずっと喋ってるってことさえ気がつかないことがあります。そういったとき、聞き手は、どう話を切ったらいいのだろう、どうしようって戸惑ってる場合が多いです。でもずっと聞きっぱなしだと、ご本人が症状に気がつかないわけですから、「ちょっと待ってくださいね」というように、話を止めることも大事です。
  • そして、相手の話を聞く、「傾聴態度」を身に着けてもらうことも大事です。聴覚的な理解が低下してるので、本当だったらいつも以上に注意を払って相手の話を聞かないと、なかなか理解ができないんですが、自分は聞く力が落ちてるんだっていうことにも気がつきにくいので、相手の話に集中して聞かないのです。しっかり「私の話を聞いてくださいね」とか、「ちょっと聞いてくださいね」と言って、相手の話に集中するように促す関りが重要です。もちろん、改善にともない、そこに気が付いてくるわけで、そうすると相手の話に集中するようになりますし、表情なども読み取ろうとします。結果、聴覚的理解が、機能的には大きく改善していなくても、理解力は上がります。

 

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