失語症の訓練の基本〜言語聴覚士というお仕事〜
医療と健康、そしてリハビリの情報〜言語聴覚士というお仕事〜本日もよろしくお願いします
前回、連続で記載しますと書いておきながら書けてませんが、本日、失語症の勉強会に参加してきたので、失語症について書きます。
あるとてもベテランの先生に「失語症塾」という私塾を開催して頂いています。毎回、目から鱗の話と、何よりも先生のプロフェッショナルな姿勢に心うたれます。
私の患者さん、すみません!って気持ちになります。
失語症のリハビリは、とても難しいのです。なにしろ、聞く、話す、読む、書くのすべてに問題が生じており、そして筋肉などと違って「メカニズムが見えない」からです。
そして、言語はとても個別性が高いものです。方言しかり、学歴しかり、日頃の生活によって、同じ日本人でも、言語活動や経験は異なりますから。
なので、限られた時間内で、担当患者さんに対して何を訓練課題にしたらよいのか、言語聴覚士は悩みます。
訓練の優先順位
指導して頂く先生の訓練の組み立ては、非常にシンプルです。
これは最も驚いたことですが、まずは、自分の名前が言えること。そして、家族さんをどう呼んでいたかを聴取して言えるようにすること。
アイデンティティーに関わることですよね。
言語訓練のルールにそうと、「発音しやすく短い単語から」なのです。「パン」とか「あめ」とかです。
それに対して、たとえば「柿谷慎太郎」なんて発音しにくい音が入っているし、長いし。
でも、自分の名前はこれまで何十年も言ったり聞いたりした言葉ですから、特別枠です。
そして、まずは「聞く」能力をあげること!理解できない言葉は表出できないからです。これ、当たり前なんですが、言語聴覚士の多くは、患者さんが「言葉が言えない」ことでいらいらしたり、落ち込むのを見て「なんとかしゃべれないものか!」とあせって、「話す」練習ばかりに焦点を当てがちなのですが、まずは「理解」が大事。
ここがプロフェッショナル!
先生は「会話分析」をとても重視されています。患者さんの発話を録音して、書き起こすのです。
頭を真っ白にして音を拾って、反応がでていない空白の時間も計測する。言語聴覚士がどんなタイミングで言葉をかけて、患者さんがどんな反応をしているか
これ、指導を受けてやってみましたが、すごく大変!
発音が聞き取りにくいので、どう表記したらいいか悩む
そしてこんどは書き起こしたものから、何を分析して評価するのかわからない
なにより、時間がすごくかかる
でも、やってみてすぐにわかったことがあります。
今まで「患者さんの反応をいかに見逃していたか!」という衝撃の事実が。
こんなこと言ってたのか
こういうあやまりがあったのか
ここは私が勝手に解釈していただけか
などなど、山盛り
まだまだ分析して、訓練に活かすまでできてませんが、やらないことには進まない。諦めずに書き起こしてみます。
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