生活習慣病は意思では治らない~言語聴覚士のお仕事~
脳卒中と言えば、生活習慣病。厚労省がかなりがんばったおかげで、ほとんどの人は、この2つをセットで知っていると思う。脳卒中=生活習慣病では決してないのであるが(ここ大事!)、生活習慣病があると脳卒中のリスクは確実に高くなる。さて、この生活習慣病というネーミング、素晴らしいと思う。ほとんどが生活の習慣が原因だからだ。たしかに遺伝的に糖尿病になりやすい等はあるけれど、予防は十分できる。しかし、これが意思の力だけでは、ほとんど改善は無理であることを実感する。そんなエピソードを紹介します。
衝撃!糖尿病を作り出す私の実家のような環境
私の母は51歳から糖尿病の治療を開始した。血液検査でひっかかり、薬を飲み始めた。よくあるパターン。
糖尿病は痛みがない、だから気が付きにくいし、病気を指摘された本人があまり気にしていない人が多い。病院でもよく見ますよ、「薬を飲んでるからいいでしょ」って言っている人、管理栄養士さんがため息を押し殺している・・辛い。
私の実家には、お菓子があちこちに置いてある。仏壇、リビングのテーブルの上、カウンターの上、台所の机の上、ひどいときはピアノの上。なんでこんなにお菓子があるのだ・・と発狂したくなる。もちろん冷凍庫にはアイスクリームがたくさんあり、ちょっとした物置の下にはオロナミンCの箱!書いていて笑えてくるが、これ、私も実家にいるときは当たり前だと思っていた。こわい・・こんな環境では糖尿病は治らない!だって、目の前に、いくらでもお菓子があるんだもの。
そして田舎にあるあるですが、歩かない!どこでも車!
糖尿病製造のような環境にいる母の口癖は「なんでこの年で糖尿病に。遺伝かね~」というもの。母の姉妹はみんな働き者で、一日ごぞごぞしている人ばかりで、糖尿病の人はいない!絶対に遺伝ではない。いくら私が、脳梗塞になるよ!怖い病気になるよ!認知症のリスクも高いよ!と言っても、改善しない。親子喧嘩で終わるのがオチ。
遺伝よりも環境が大事
そんな母は、もう少しで皮下注射というレベルまで悪化。ここで変わったのだ。きっかけは私の娘の一言
「ばあちゃん、わがまま!そんな人、病気になっても知らん」
がーーーん!となった母は、いつも自宅でお菓子を食べながらおしゃべりしている仲間と、歩きながらしゃべるという、いわゆる歩こう会を始めた(笑)。そうするといろんな情報が入ってきて、ワンコインの体操教室にも通いだした、みんなで。このあたり微笑ましくて笑いの連続。
75歳を超える頃に、周囲の人や自分も車で事故を起こし、免許を返上した。田舎は車がないと大変。バスは乗り遅れたら次は1時間後だし、スーパーも遠い。おまけに実家は急な坂の上。そりゃ歩くよね・・重いもの持てないか、ちょっとずつ買い物にいく、つまり毎日スーパーに行く。
まあ、相変わらず実家にはお菓子がたくさんある。さすがの私もついつい手が伸びそうになる。この誘惑に勝つために、かなりの認知資源を奪われる。この環境にいなかったら、しなくてもよい苦労である、意志力である。無駄に意思を使わなくてはいけない。なので帰省したら、段ボールに全部お菓子を詰めて見えなくする!これが一番である。
ちなみに、母の血糖コントロールはすこぶる改善、歩行速度も上がった!本人はあまり気にしていないし、強い意志力を駆使しているわけではない。糖尿病改善に最も貢献したのが、車を手放したことだと思う。だって、歩かないとどこにも行けないのだもの。病院、役所、お友達のところ、ATM,すべて歩かなければならない。歩く時間が激増したので、自宅でお菓子を食べる時間がなくなった。
おしらせ
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