頭部外傷による高次脳機能障害No1~言語聴覚士というお仕事〜

頭部外傷による高次脳機能障害No1~言語聴覚士というお仕事〜

医療と健康、そしてリハビリの情報〜言語聴覚士というお仕事〜本日もよろしくお願いします。

先日、大阪医療センター脳神経外科の中島伸先生の講演に行ってきました。テーマは「頭部外傷」です。

高次脳機能障害とは?

そして、この外傷によって、さまざまま高次脳機能障害を呈して、日常生活や、社会生活に困難が生じている人がたくさんいます。高次脳機能障害とは、「見えない障害」と言われ、手足の麻痺などではなく、一見、何も障害がないように見えるため、周囲の人に非常に理解されにくいものです。

  • 「注意が散漫」になったり「一つのことにしか注意が向かない」「短時間しか集中できない」などの注意障害
  • 「新しいことが覚えられない」「過去のことが思い出せない」記憶障害
  • 「段取りがうまくできない」「状況に合わせて柔軟に対応ができない」「予測をたてて行動できない」「適切な判断ができない」などの遂行機能障害
  • すぐに怒る、幼稚な態度になる、抑制がきかないなどの社会的行動障害

こうした症状は、受動的である入院生活では露呈することが少なく、本人も家族も気がつかない場合が多いです。そして、元の生活に戻って問題が生じることが多く、家族や周囲の人は「人が変わった」と言い、本人は「うまくいかない」いらいらを募らせることになります。

頭部外傷とは?

頭部外傷とは、頭に外から力が加わることで頭の皮膚、頭蓋骨、脳の損傷を来たすことです。我が国の頭部外傷数は年間およそ28万人と推定されています。死亡原因の統計上、”不慮の事故による死亡”は第5位、死亡総数の4%を占めるとされますが、この中でも交通事故死が非常に重要となっています。交通事故による頭部外傷の死亡率はおよそ5%で、逆に頭部外傷死の原因の60%は交通事故によります。その他の原因として転落、転倒、幼児虐待などが挙げられます。

参考サイトはこちら

脳機能障害を呈する代表的な頭部外傷としては

  • 頭が激しく揺さぶられたことで「脳の神経を形成する軸索という繊維」が全体的に分断してしまう「びまん性軸索損傷」
  • 脳実質が圧力でつぶれて損傷する「脳挫傷(のうざしょう)」出血した場合を「脳挫傷性血腫(のうざしょうせいけっしゅ)」といいます。この場合、脳は硬い骨の中に柔らかい脳みそがあるので、ぶつけた場合、ちょうど箱に入れたお豆腐がぐちゃっとなるように、力が加わった部分の全く反対側に損傷がある場合が多くこれをコントラクー外傷といい、ぶつけた直下の外傷をクー外傷といいます。

昔から「頭の打ち所が悪かった」などと言いませんか?これが外傷による高次脳障害です。そして、長年、理解されることがなく、本人も家族もとても大変な状況になっていることが多く、こうした家族の会や、一部の先駆的で熱心な医師の努力で、「支援モデル事業」が15年前にようやく計画されることになりました。しかし、まだまだ整備は不十分だと日々の臨床で感じています。

次回に続きます。

こちら、家族が描いた漫画です。原因疾患が頭部外傷ではなく、くも膜下出血ですが、とてもわかりやすいと思います。

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