失語症と言語聴覚士~コミュニケーションは大事じゃないの??~

失語症と言語聴覚士~コミュニケーションは大事じゃないの??~
2020年7月9日 日本脳卒中協会より、「脳卒中患者・家族は何に困り、何を求めているのか?」というアンケート調査が公表されました。
結果のポイントとして
  1. 治療や制度が分化されており、一貫した支援が得にくい
  2. 地域生活におけるリハビリテーションやケアが十分でない
  3. 働くことへの支援が不足している
  4. 失語症という後遺症に対する支援や理解が不足している
  5. 脳卒中に対する社会の理解が不足している
脳卒中の後遺症は様々ですが、ここに唯一「失語症」が明記されています。
なぜなのか?18年病院に勤務し、今は、生活にもどった方の支援をおこなっている
言語聴覚士として、私なりに感じるところ、考えたことを書いていきます。

身体VS言語???

脳卒中や頭部外傷などで生じる後遺症は、「身体・認知・心」と言われています。どれも大事ですよね?
言語、コミュニケーション障害は、ここでいう「認知」にあたります。
ではこの3分野の支援をする体制が整っているか?ですが、ざっくりと分けると
  • 身体については、立ったり座ったりの基本動作をする理学療法士と、トイレ動作や食事動作などのADL(日常生活動作)を担当する作業療法士
  • 認知に関しては、作業療法士と言語聴覚士が関わりますが、認知の問題はさまざまあるのですが、この中の「失語症」という言語障害については言語聴覚士です。
  • 心については、心理士など専門職はまだまだ配置されていません。それぞれの職種が、できる範囲で関わっているのが現状です。
3職種の状況が同じか?といえば、そうでもなく、あちこちで言われるのが「言語聴覚士って???」です。
それもそのはず理学療法士や作業療法士に比べ、35年遅れて国家資格となりました。もし?ほんとに両方が必要であると認識されていたら、もっと早く資格化されていると思いませんか?
理学療法士は約18万に対し、言語聴覚士3万4千人
職能団体所属人数は、理学療法士約12万に対し、言語聴覚士1万6千人

これが現場でどのような影響を与えるか?ですが

多くのリハビリテーション科のトップは理学療法士です
人数は理学療法士>作業療法士>言語聴覚士です
そして
リハビリテーションを一人の患者さんがうけられる時間は決まっています
となると、勢い、言語のリハビリテーションが少なくなってしまいます。枠をもらえない事も少なくありません。
さらに、いまだに、「喋れないより、トイレに行けないほうが問題じゃないのか」「喋れなくても自宅に帰れるでしょ」「何が困る?」と、言われ、凹んでいる言語聴覚士は多数。
ちなみに、私が、以前、在籍していた病院に、見学に来た言語聴覚士がことごとく「言語のリハビリを下に見られる」と嘆いており
理学療法士の課長さんが「はは!!うちの病院ではそれは絶対ないわ!めっちゃ強いもん」って横で笑ってましたが
このように理解がある人はめずらしい・・
いや、もっと、珍しいのは、ぐいぐい発言する言語聴覚士の私かも知れない
言語聴覚士の職域が、きちんと確立されていないことが、失語症のリハビリテーションが十分に行われない原因の一つであることは間違いないと思っています。

リハビリテーションとは全人間的復権

そもそもリハビリテーションは、その人、全体に関わるもの「全人間的復権」です。
身体・認知・心 すべてです。
歩けないと同じくらい、コミュニケーションが図れないのは、本人にも家族にも周囲の人にも困りごとです
コミュニケーションは、社会参加と直結します。
身体vs言語ではなく、両方が重要なのです。

アンケートを見て

今回のアンケート調査で、「失語症」が挙げられているのは、いかに、この障害に対する支援やケア、そして理解が不足しており
多くの人が困っているという実態を反映しているのと考えます。

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