嚥下障害者の意思決定支援No1~さまざまな症例と家族~

嚥下障害者の意思決定支援No1~さまざまな症例と家族~

先日、嚥下障害者における「人生の最終段階における包括的な支援」について話をしてきました。私はこの仕事をして19年、嚥下障害の方は相当な数を経験してきましたが、いろんな症例と家族さんがいます。

 亡くなったけれども、本当に良くしていただきましたと感謝していたご家族さんも結構います。本当はもうちょっと上手くいったかなと、医療者は思ってるんだけど、家族さんとしては満足ですという場合があります。

 反対に、自分の親にこういうことをすればよかったとかな、これで良かったのかなと、いつまでも後悔している家族さんの声もよく聞きます。もっと医療をしたらよかったと悔いている場合もあれば、あんなことなら何もしないほうが楽だったのではないかという場合もあります。

 入院当初はよく通ってくれてたんだけれども、なぜか離れていた家族さんもいます。その中には、ある一定の割合で、医療不信があります。今は減っていますが、ちょっと前は、お医者さんが「こうしましょう」と方針をきめて、医療について素人である家族さんが迷っている、困ってる間に話が決まっちゃう。そして、それで治るならいいけど、どんどん悪化しているようにしか見えない。こうなると来なくなりますね。以前、お子さんがいない1人暮らしのおばあちゃんが、脳梗塞になって意識障害が残った、そのとき、姪の方が病院に来られて、「あのこれ私の叔母が残した手紙なんです」と手紙を持ってきたんです。そこには、自分がもし倒れて何も話せない、意識が戻らない状態だったら、もう何もしないで、きれいにさようならをしたいって書いてあったのです。けれども病院は、「まだ若い(といっても70歳代)改善する可能性がある。このまま何もしなかったら、亡くなるだけですよ」みたいな感じで、半ば強引に胃瘻を作って、そのまま同じ病院にある介護病棟に転院。胃瘻をやたらと造設していた時代の話ですが、今は、それが経鼻経管になっている人も多い。

 他にも、医療者は、もうちょっとリハをしたり、もうちょっと何か手立てをしたら良くなるんだけどなあと思うけども、ご本人さんや、家族さんが拒否するという場合もあります。きちんと情報提供したうえで、医療をしないという選択はありですね。あとで「知らなかった」「もっと早く知っていたら」の後悔はないように、「拒否だから」ではなくて説明は丁寧にしたいものです。

 他にも、もうそろそろ終末期ですよねと予測して、「積極的な治療はしないほうがいいかもしれませんね」みたいな感じで、医療者や家族も納得していたけれども、意外と本人が復活してくるってこともありますね。あと、余命が何ヶ月だからということで、みんなで家でみましょうと退院したら、その後元気になって、「こんなはずではなかったですわ」と笑っている家族さんもいます。

明日は、そんな嚥下障害を抱える人をケアする人の気持ちについて書きます。

私の活動をご紹介

 

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