ACP(アドバンス・ケア・プランニング)ってなに?勤労世代の未来と人生の再設計について

ACP(アドバンス・ケア・プランニング)ってなに?勤労世代の未来と人生の再設計について

今日からは、高次脳機能障害領域におけるACP(アドバンスケアプランニング)の重要性について、言語聴覚士として掘り下げています。

私は言語聴覚士として、脳卒中や頭部外傷の後遺症である失語症・高次脳機能障害の方の社会復帰支援を行ってきました。そこには、高齢者のACPとはまた違う考えや視点が必要だと思っています。
特に、20代~50代の勤労世代にとって、ACPがどれだけ意義のあるものかを考えてみましょう。

就労世代におけるACPの意義

多くの方は、「自分はどういう人生を歩み、どのような最期を迎えたいか」と、自分の未来や人生について意識することがあります。
自分が脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの病気や、交通事故にあって頭をケガするなんて想像することもなく、なんとなく平均寿命になるまで「普通」に生活していると考える人がほとんどではないでしょうか。

しかし、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの脳血管疾患や、頭部外傷は突然にやってきます。
多くの人が「まさか自分が」「まさか私の家族が」と驚き、悲しい現実に直面します。

現代医療の進歩により、多くの命は救われています。
しかし、後遺症として麻痺や失語症1)、高次脳機能障害2)が残ることも珍しくありません。
これにより、生活様式や社会的役割が大きく変化し、予想していた未来の計画が一瞬にして白紙となることもあります。

ACPとは終末期だけのことではない

ACP(アドバンス・ケア・プランニング)を考える際、言語聴覚士の私が特に重要視するのは、20代から50代の勤労世代の患者さんです。
彼らは日々の業務や学業、家事、育児など、社会的な役割を果たし、自己認識を持っています。
病気やケガを自分ごととして考えることもなく、明日は必ずやってくると思って暮らしている人たちです。

ACP(アドバンス・ケア・プランニング)は、将来に向けた人生設計を立てるためのものです。決して、終末期のことだけではありません。このブログでは、ご自身の健康、望む医療だけでなく、社会人としての生き方やアイデンティティを確立する課題に焦点を当てています。
人生設計が急に変更される場面や、回復プロセスにおいて、本人の意志を尊重しつつ、家族や関係者とどのように対話を重ねるかについても考えてみましょう。

1)失語症…脳血管疾患の後遺症により、言葉を聞いて理解する、話す、読む、書くなどのコミュニケーションに困難を抱える。
2)高次脳機能障害…脳血管疾患の後遺症により、思考、記憶、言語、計画、意思決定、判断、感情コントロールなどが困難になる。

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