患者から学ぶ人生教訓〜言語聴覚士のお仕事〜
あの患者は、家族は、ああだ、こうだ言うなよ、普通の状態ではないのだから入院しているわけで、それをリハビリするのが仕事でしょ・・家族さんだってパニックになってるんだからさ。
「なんでゴミが落ちてるんですか!」「なぜちゃんとゴミ箱いれないんですか!」と文句ばかり言っている人にまぎれると「さっさとゴミを拾いなさい。その文句を言う100分の1の時間でできるわ」と、つぶやきたくなる私。
うんざりしていた気持ちをシャキッとさせてくれたのが、明日が退院となるある80代の患者さんが私に語ったこのお話です。(掲載許可は頂きました)私はいつも最後のリハビリでは、「たくさん学ばせてもらってありがとうございました」とお礼を伝え、高齢の患者さんでしたら「人生の先輩として、何かおっしゃってください」とお願いするのです。そりゃ、素晴らしい話がいつも伺えます。
教育ができないのは、指導者の力不足と考えるべき
指導・教育はとても大変な仕事ですね。
後輩や新人がはっきりと覚えていないのは、自分の説明の仕方、指導の仕方が不足しているという気持ちに指導者はならないといけないんです。
自分の説得で、本人が自分で真に理解して仕事を行うようになるのが、真の指導者です。
むつかしいものです。
相手が理解していないということは、自分の説得や説明が不足していると考えるべきです。パワハラとか、暴力とか、そんな人は上にたつ資格なしです。相手がわからないのは、自分が説明したつもりなだけです。わからないことは何度でもいつでもちゃんと説明してあげる。相手がどうなってほしいと思いやって、相手がかわってくれるまでが大変ですけどね。そういう指導をしていくのが立派な指導者です。私はそういう指導を受けてきたので、自分も新人にはそうしてきました。これが伝統です。つまるところ、経営者というもの、こうした気持ちにならんといけないのです。
日常の5心というのがあります。
- はいという素直な心
- すみませんという反省の心
- 私がしますという奉仕の心
- おかげさまという謙虚の心
- ありがとうという感謝の心
私の勤めていた会社の社訓はですね、「輪をもって尊しとする」でした。この5つの心をもっていたら輪につながります。あの上司が嫌だ、あいつがあかんと決めつけていたらね、うまくいくはずがありません。みんな仲間で、輪をもって摂して仲間と思い、いろんな協力をしていかなければならんのです。
そうしてすすめていけば、企業は必ず発展するのです。
持論を述べたまでですけどね、もし、お役に立てるのであれば、みなさんにお伝えしてください。ここまでしゃべれるようになりました、ありがとうございました。
なんでも結果を急いではだめ
最近の若い人は、なんでもすぐに答えやknow-howを知りたがって、そんなものはないねんで!って思っていた私ですが
私もこの患者さんの話を聞いて、自分が教育や指導の成果をすぐに求めていることに気がつきました。そして、この5つの心を失いかけていることも。言語室に書いておこうかしら、それも達筆な認知症の方にお願いするとかよくない?って真剣に考えました。
自戒をこめて、時々、読み返したいと思います。
どうか、退院先でも話し相手が見つかりますように
さて、この患者さんは、軽度の口腔麻痺があり、発話する音が時々歪むのです。おまけに、発語失行といって、ちょっとたどたどしい話し方になるのです(外国人が話す日本語を想像してもらえると近いかも)ゆっくり話をして、相手がしっかり聞けば、何をはなしているかは必ずわかります。でも、高齢で、一見なにをしゃべっているかわかりにくい人って、認知症と間違えられることが多いのです。地域で関わる人、どうぞ、そこを勘違いしないでほしい。申し送りもしっかり読んでほしいし、適切な関わりをしてほしいと切に願います。失語症や構音障害など、自分の意思を伝えにくい人がぽつんと座っている光景はよくデイサービスやデイケアで見る光景です。(決して認知症の人を低くみているわけではないのですが、ケアするポイントが違うのです)
せっかく2ヶ月かけて改善したのだから、退院後も話し相手がみつかって、日常会話を楽しめますように。
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