脳出血とは何か〜言語聴覚士のお仕事〜
医療と健康、そしてリハビリの情報~言語聴覚士というお仕事~本日もよろしくお願いします
本日は、お友達数名と「死生学」について30年以上も上智大学でご講義されていたアルフォンス・デーケン氏の講演に行ってきました。「死について考えることはよりよく生きるため」「ユーモアを大切に」など、とても心に残るお話を拝聴してきました。また、感想をまとめようと思います。
脳出血
昨日に引き続き、脳卒中についてです。脳内の血管が破れる「脳出血」についてです。かつて「脳溢血」と呼ばれ、非常に多かったのがこの「脳出血」です。
脳出血の主な原因は高血圧です。高血圧が長期間続くと脳内の細い血管の壁が少しずつもろくなり、壁の一部がふくらんで小さなコブ(微少動脈瘤)がいくつもできます。この状態にさらに高い血圧が加わり、その一部が破裂して出血するのが脳出血です。出血した血液はかたまり(血腫:けっしゅ)をつくり、これによって周囲の脳細胞がダメージを受け、さまざまな脳の働きに障害が起こります。
出血しやすい場所
被殻や視床など内包と呼ばれる場所は細い血管が通っているので発症しやすく、脳出血の7~8割程度を占めます。内包は手足を動かす運動神経や手足からの感覚を脳へ伝える神経繊維が集まっている場所で、ここで出血が起きると右脳の出血なら左半身の、左脳の出血なら右半身の運動麻痺や感覚麻痺などの症状が出てきます。その他、大脳皮質下、小脳、脳幹の橋(きょう)などでも脳出血がみられます。中で最も重症なのは脳幹出血で、脳出血の約5%程度がこの部分で起きています。脳幹は、生命を維持する上で非常に大切な場所。発作後数分で意識がなくなり両手両足が動かなくなり、数時間で死亡することもあります。
言語聴覚士の私が、一緒に考えたいから
言語聴覚士として、患者さんや家族に接するあたり、私自身や私の家族はまだこの病気を体験していません。しかし、目の前の患者さんや家族とともに、退院後の生活について一緒に考えていくのが私の仕事です。そこで少しでも理解を深めたいと思って出会ったのが「山田規久子」さんです。医療者としての知識と、当事者としての視点の両方から発信されているので、非常にこの病気と後遺症について理解が深まります。
自らの体験を語り、啓発活動を行っている医師「山田規畝子」さん
整形外科医として活躍されていた山田規畝子さんは、3回の脳出血を発症、高次脳機能障害を呈しました。高次脳機能障害については、後日投稿しますが、「見えない障害」と言われ、記憶力や注意力、思考力が低下して、日常生活で困難さが生じるものです。彼女は、「もやもや病」という脳血管が破れやすい難病でした。芸能人で言えば徳永英明さんもそうです。多忙でストレスがかかる生活によって、血圧が上昇し、もろくて細い血管が破れてしまったのです。
山田規久子さんは、発症のたびに高次脳機能障害が重症化しましたが、様々な工夫と努力で日常生活を送られています。また、少しでも多くの人にこの病気を知ってほしい、その思いでたくさんの書物や講演活動をされています。彼女の医師としての、非常に強い使命を感じます。
私は、高次脳機能障害を呈した患者さん、家族さんに著作を貸し出しています。入院中に少しでも、体験者の話に触れることで、障害に対する理解が深まるからです。
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