失語症・高次脳機能障害者の未診断問題について「脳に何かがあったとき」その②~言語聴覚士のお仕事
失語症・高次脳機能障害の就労をテーマにした冊子「脳に何かがあったとき」は1年半を超えました!36名以上の方をインタビューして記事にしています。この事業は、厚生労働省老人保健健康増進等事業 『認知症の人の地域における参加・交流の促進に関する調査研究』の一環として、中途障害である失語症・高次脳機能障害の方についての報告を書いています。今日から、文章がかなり堅いですが、その内容をこちらのブログでも公開したいと思います。
本日は、見えない障害と言われる高次脳機能障害の未診断問題について、書きます。
人生が大きく狂う未診断問題
高次脳機能障害の診断基準が定められたのが2004年であるが、それ以降も未診断の問題は残存しています。自身に障害があると知らずして生活に戻った当事者は、問題にぶつかるたびに、原因がわからず、それゆえ対処方法がわからないまま混乱した生活をおくることになり、さらに社会適応が難しくなってしまいます。本調査でも、未診断の人は、リハビリテーションプログラムをうけることもなく、自身や家族などの努力で、就労に至り、いわゆる自助努力のみでなんとか切り抜けた人、またはドロップアウトを繰り返している人もいます。
記憶障害があるために、「若年性認知症」の診断がついた人、易怒性による暴言・暴力が抑えられず家庭崩壊している人もいました。家族も、当時の混乱した日々を思い出すと、「手が震える」ほどのストレスを感じる人もいて、ヒアリングを中止しました。
全員が、診断がついた時には「自分が悪いのではなかったと、ほっとした」と発言し、診断をした医療機関に感謝の言葉を述べています。未診断は、2次障害を引き起こす重大な問題であるが、未だに、脳外科医を中心に医師が、高次脳機能障害に対する認識が乏しく、この乖離が非常に大きいと感じています。たとえ、当事者・家族が、なんとか情報を探してこの障害について知ったとしても、そこから診断してくれる医師を探すのも難しく、高次脳機能障害に詳しい医師のところには、そうした未診断の人からの相談、精神障害者保健福祉手帳の申請のために来院される人が多いとのことです。
話を聞いていると、この未診断を単なる「診断の見過ごし」と言っている医療サイドと、「これは医療過誤ではないか」と感じている当事者や家族との乖離があまりに大きく、驚いています。
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