秀逸な言語化!冷静な客観視!
「脳コワさん支援ガイド」は、ジャーナリストであり、当事者である鈴木大介さんが、高次脳機能障害を見えない障害について当事者視点から書いたもので、当事者「あるある」の羅列です。鈴木大介さんは、裏社会、触法少年少女らを中心に取材した『家のない少女たち』(宝島社)、『最貧困女子』(幻冬舎新書)、『老人喰い』(ちくま新書)などを刊行、ところが、多忙が極まり、2015年、41歳のときに右脳に脳梗塞を発症し、高次脳機能障害が残ります。
倒れたとき「あ、これで休める」と思ったくらい、忙しい日々だったとか。そして、なんと!意識がまだもうろうとする中で、本の企画書を書きあげたとは!すごいですよね
そして、この本は発症して5年経過してから書いたものです。生活の中で、何が困るのか、本人はどんな気持ちなのか、医療従事者でなく、あくまでも当事者視線で、一般の人にわかりやすいように書かれています。
高次脳機能障害だけなく、いろいろな人に当てはまる、共通したこまりごとが書かれており、当事者でなくても、その苦しさ、困難さがリアルに感じとれる表現で、ジャーナリストならではの言語化の素晴らしさに感動します。
以前、茂木健一郎先生との講演会では、はっきり言って、茂木先生のほうがよくわからなかった(笑)
先日、この本の読書会を開催しましたので、報告をします!
長期回復について
高次脳機能障害や失語書は、発症から6ヶ月過ぎると回復は緩やかになりますが、長期にわたって回復していくのです。それを
気がついたら坂道を登っていた。あまりに緩やかだから登っている感覚はない。でも、ちょっとずつ、登っていて、ふと後ろを振り返ったら、あ、それなりに登っていたのだと気がつく
急によくならない、でも、緩やかに、緩やかに、日々、回復していく様子をこのように表現されていました。
はっきり言って、私、この表現を使わせて頂いております(笑)
参加者していた当事者、家族からは
- 毎日、毎日は、何も変わっていない気がする。
- できると思ったらできなかったり、できないと思っていたらできたみたいなことを繰り返している
- このまえ出来たのに、今日はあかんっていうのがよく合って、戸惑うけど、そんなもんですかね
この辺りを、
イラストで8ステージとして描かれており、わかりやすいですよ。
できたら次のことに挑戦、そこでまたできないという壁にぶつかる。「あ、まだ治っていない」という現実を見せつけられるが
またそこで周囲を頼ったり再チャレンジして、少しずつできるようになるということを繰り返し、少しずつ回復していく
できることだけをしていては、回復しない
そう書いてあります。
人を頼ってもいい、人に預けてもいい
急性期のころから、妻が僕に伝えようとしたことは、なんでも一人でしようとするなそれは自立じゃなくて、孤立でしょ
参加した言語聴覚士から
「支援している人にも言えることで、誰にでもあてはまる言葉。支えている家族さんにも強くお伝えしたい。認知症の方をみている家族にも伝えたい」
自立と孤立、考えさせられますよね。
鈴木大介さんを囲むオンラインイベント!
そして、著者を囲むオンラインのイベントを開催します。鈴木さんの洞察力、表現力には驚かされます。そして、「障害があっても、いつも人の強みは残る」という真実は、自分と社会の間に障害を感じる現代人の心に明るい灯(ともしび)となることでしょう。
あなたも、鈴木大介さんのお話を聞いてみませんか?
- 日時 2020年8月14日午後7時~90分程度
- 会場 zoomオンライン会議システム
- 内容 鈴木さんの講演会と質疑応答など
- 費用 一般3,000円、脳ケアゼミメンバーまたはNPO法人Reジョブ大阪賛助会員は1,000円
- お申込みはこちらから→著者と話そう!ゲスト『脳コワさん支援ガイド』鈴木大介さんを囲むオンラインイベント!
COMMENTS & TRACKBACKS
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こんにちは。
安らぐ時間は、何をしていますか
はい、明日、聞いてみますね。ありがとうございます
非行少年の立ち直りとリハビリに共通点はありますか?