失語症の方のこまりごと~病院と生活場面の乖離~
軽度の失語症の方は簡単な日常会話は可能です。なので、入院中、医師や看護師さんと、だいたいの意思疎通は出来ます。お見舞いに来た家族さんや友人とも、そんなに長時間話すわけではないので、特に問題は目立ちません。もしかして、「リハは不要ですよ、自然に回復しますよ」と説明されている人も少なくないかもしれません。
しかし、入院中に、コミュニケーションにおいて、あまり問題にならなかった人でも、実生活に戻ると困りまくり!
そもそも病院と言う限られた環境の中で交わされる会話の内容は、せいぜい限られています。言語聴覚士とのリハビリテーションも、「遮音がある」「1対1」という環境の中で実施されます。おまけに、はっきりゆっくり話しかけられます。表情をみて、同じことを繰り返してくれることもあります。
では、生活の場で、こんな環境はありますか?ありませんよね。だから、SLTA(標準失語症検査)で問題ないとしても、いやいや、実生活ではとても苦労するんです。そのあたりは医療職が知っておいて、退院時に説明できるといいですよね。心の構えがあるのと、ないのとでは大違いです。
周りはがやがやしているのが普通ですし、複数の人と話すのも普通。カフェで話す時は、「相手の言葉が頭に入ってこないんです」という失語症の方は少なくないです。そもそも聴覚過敏を合併している人もいます。グループLINEをはじめとする集団のコミュニケーションツールが使いこなせない。ま、そもそもツールがありすぎて、どうしたらいいのかという入り口も困難ですが、あのグループで、わわわ~っとたくさんコメントが入るともうついていけない。一つ一つ確認しているうちに話はどんどん進んでいき、一生懸命、文字を追っているのに、他の人から見たら既読スルー、辛いですね。電車や百貨店、スーパーなどのアナウンスもうるさくて聞き取りにくいし、家電量販店なんて、音はうるさい、POPもがやがやたくさんあって、私でも頭が痛くなってしまいます。こんなところで店員さんとやり取りしたり、買い物とかほんとに難しい。
あと数字が難しくなるので、お会計が大変です。麻痺もあったら、どうしてもお支払いに時間がかかってしまって、冷たい視線を浴びたという人は少なくないです。たいてい日本は治安がいいので、「おつりを誤魔化す」店員はいないので、多めに出す、お札を出すで乗り切っている人は多いですね。小銭ばかりで財布がパンパンだという声もよく聞きます。今はスマホ決済などもあるので、これらの活用をお勧めします!
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