障害を戦略的に開示する!~高次脳機能障害・失語症の当事者インタビュー~

障害を戦略的に開示する!~高次脳機能障害・失語症の当事者インタビュー~

ルポライターの鈴木大介さんと、高次脳機能障害・失語症の方を対象にインタビューをして、冊子を毎月発行しています→「脳に何かがあったとき」

今回は、回復期病院に入院中に自身の障害について、しっかり学んだあとに退院、紆余曲折を経て、「職場では、障害を戦略的に開示していった方が得だ」いう考えに至ったTさんについてです。

まだまだ理解されにくい高次脳機能障害

Tさんは脳出血による身体麻痺と高次脳機能障害があります。ややカロリー過多な食生活と運動不足、そんなに健康に気を付けているわけでもないですが、そんなにめちゃくちゃな生活でもない、どこにでもいる40代男性です。つまり、誰にでもリスクがあるということです。

生活自立センター、就労移行支援事業所、特例子会社など、「就労に理解がある」と思われるステップを踏んで、再就職・就労継続をしています。しかし、現実はそうではなく「高次脳機能障害を理解してくれというのは無理やな」と諦めの境地に至りました。このあたりの話をするときは、今も、若干の怒りを抑えつつ、「しゃあない精神で」と、戦略的にそんな怒りの感情も飼いならしている感じがしました。

障害に理解がある、就労支援をしてくれる、そんな地域の施設に繋げたら、病院に勤務している支援職は、「送り出せた、良かった」と安堵するものですが、当事者の苦労はそこからスタートする場合もあると、認識しておく必要があります。結構、これは驚きでした。

「気づく」ことの大切さ

Tさんのケースで最も重要なのは「障害の戦略的開示」です。そのためには、自分の障害について、自身がしっておくことが必須です。

多くの人は、障害についてどこまで説明するのか迷うことがあります。ご本人が否定して怒ったり、また落ち込んだり、そうした反応が恐くて、あまり踏み込まない病院も多いようですが、退院した後ご本人が生きていくためには、自身の障害について知っておくことは非常に重要です。感情的になってしまった場合は、説明するひと、傾聴する人など役割を決めてチームで支えましょう。

そして、気づきは、障害について一般的なことを知っている(知識的きづき)、次にご自身の体験から「あ、こういうことか」と気づき(体験的気づき)、さらに「あ、こうなりそうだ」と問題を予測し(予測的きづき)と進むと言われています。目指すは予測的気づきであり、さらに、誰かに相談・支援を求める、つまり自分の気づきを言語化できるが理想です。Tさんは、「あ、俺、そろそろヤバイ。面談頼む」とOTさんに声をかけています。まさに予測的気づきからの、相談・支援を求めるですね。就労継続出来ている大きな要因ではないかと考えます。Tさんは長年かけてこのスキルをご自身で身につけました。入院中は、なかなか気づきにつながる体験をすること自体が難しいのですが、外出訓練などを組み合わせ、こうした「気づき」と「言語化」について取り組んでいきたいと思います。

こうした「相談・支援」を得ることが出来る相手だと判断したら、「障害を開示する」なぜなら、「そのほうが何か問題が起こった時にスムーズに解決するから」

チームメンバーが変わったら、自身の障害について知っている人と知らない人がいると、なにかと不都合、なので「メンバーには開示する」

障害の受容だとか、差別だとかではなく、業務がスムーズに行えるか、チームがうまく回るかどうか、そんな「得するのかどうか」で、開示を決めているそうです。彼はそれを「戦略的開示」と言っています。

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