当事者の語りからわかること~高次脳機能障害の当事者である鈴木大介氏の講演から~

当事者の語りからわかること~高次脳機能障害の当事者である鈴木大介氏の講演から~

今日は、関東地域の「高次脳機能障害者支援普及事業」の講演会でした。

テーマは「コロナ禍と高次脳機能障害」で、鈴木大介さんと講師を努めました。

その中からトピックをいくつかご紹介します!

脳損傷の後遺症は、認知・身体・心

 

脳損傷の後遺症である、高次脳機能障害は「認知」機能の障害と言われています。高次脳機能障害の根本的な症状として、情報処理の速度や容量の低下が挙げられます。高次脳機能障害のある人は、たくさんの情報に囲まれると、脳内での情報処理が追い付かなくて、「わ!なにこれ?」と、混乱することがあるようです。そんな時に、過呼吸になったり、身体から力が抜けてしまうような虚脱感を感じたり。さらに吐き気やめまいなど、こういう症状が出ると、麻痺がなくても、「身体」の問題が生じますね。つまり、麻痺がなかったらOKではないわけです。

 

パニックになった時の表情は?

さて、認知の問題から、周囲にあふれる情報処理が追い付かなくて、頭の中が、大混乱!

こうなると、立っているだけでも精一杯という状況らしいです。もちろん、周囲に配慮はできませんし、自分がどんな様子なのか、他者からみた自分の姿など、気がつきません。

鈴木大介さんいわく

ぎりぎり形を保っている、やわらかいプリンを想像してください。ゆるすぎるプリン=自我、現実感です。なので、ちょっと何か、刺激過多になってしまうと、プリンがぐちゃっと崩れてしまうんです。それを一生懸命、保とうとするだけで精一杯

 

あやういバランスの上に、成り立っている自我・現実感。当事者インタビューでもよく聞かれたのが、この現実感の希薄さ。離人感とか、他人を見ているような感覚とか、自分が登場する夢を見ているようなとか、そんな表現が聞かれました。

そうして、こうしたゆるいプリンが、いかにも崩れそうになっている時は、ご本人は、一生懸命に、プリンを保とうとします。自分の周囲に何が起こっているのか、情報を処理しようと、頭をフル稼働しているのです。

しかし、そんな時の表情、雰囲気は、他者から見ると「ぼーっとしている」ように見えるのです。これは大きな誤解ですね。

そういえば、うん10年前、私は某大学の授業で「人間がもっとも驚いたときの顔をしてみて」と言われました。

学生の私たちはみんな、目を丸くして、口をあけて、いわゆるびっくり!の顔をしました。しかし、先生は

 

「違います。最も驚いたときの顔はこうです」といって、ぼーーっとした顔をしました。

「チャウシェスク大統領の、革命が起こった時の表情が、これでしたね」と説明されました。東欧革命が起こっていた時代の話です。こちら→https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%82%A8%E3%83%BB%E3%83%81%E3%83%A3%E3%82%A6%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%82%B9%E3%82%AF

自分のキャパシティーを超えた情報にさらされると、こういう「ぼー」っとした表情になるらしいです。知らなかった人は、多いのではないでしょうか?私も鈴木大介さんから聞いて、この大学の授業を思い出しました。

そう、この記事につけた写真のような表情はしないのですよ・・

医療の現場でも、誤解がたくさん

当事者が語らなければわかりにくい、誤解されやすい内面を知ることは、目の前にいる高次脳機能障害者を理解するために、大事だと思います。

リハビリ職の方、「ぼーっとしてやる気がない」「反応が乏しい」と、目の前の患者さんについて、評価していませんか?本人は脳内フル稼働の状況かもしれません。

さらに、現実感が希薄だと、今、何が起こっていて、何が自分に必要なのか、判断しづらいものです。その状況で、リハビリの必要性は実感できないのも当然な気がします。

ルポライターの鈴木大介さんと、高次脳機能障害・失語症の方を対象にインタビューをして、冊子を毎月発行しています→「脳に何かがあったとき」

 

私の活動をご紹介

すべての人が、自分らしく社会参加できる、自分の力を活かして稼げる「幸福な経済圏」が作れたらいいなと思って活動しています。

  • 当事者の社会参加と家族ケア・啓発活動
    NPO法人Reジョブ大阪
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    現場19年、大阪の元気な言語聴覚士が、患者から学んだ人生の処方箋。
    コロナ禍の中、先行き不透明な時代にこそ、多くの方に読んでほしい!
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