ABC理論の活用 〜失語症と高次脳機能障害の方への言語リハビリ〜
おはようございます。言語聴覚士の西村紀子です。この記事では見えない障がいと言われる『高次脳機能障害』・『失語症』についてお伝えします。ご本人・ご家族・言語聴覚士を始めとする支援者の方が少しでも生活における困りごとと背景について理解することができるよう書いていきます。
ABC理論の活用
できごと→認知(解釈・とらえかた)→感情
同じ出来事があっても解釈が異なる。
感情だけの訴えだと、何がおこって、どう認知したのか問題の根本が相手に伝わらない
高次脳機能障害や失語症の人が離職する原因の一つが、「なんかうまくいかないから落ち込む」「なんか怒られていや」「なんかムッとする」という感情のところしか、本人が気が付いておらず、問題解決にならないことがあります。
言語療法での例をお伝えします
例えば、飲食店でアルバイトしているAさん。SはST(言語聴覚士)です
S)どうだった?
A)大変でした!もう、落ち込んだ!
言われるのが嫌だったし、最後はイラっとしてしまった。なんかやり方が違うし、おじさんだったらアドバイス聞いたかもしれないけど
→感情のみを伝えても、こちらには何があったのかわかりません。
s)まず何があったのか、事実だけを話してみましょうか
A)モーイングとディナーとで扱うお皿が違うんです。メニューも違うからそれがまず大変
S)たくさんあるから覚えるのが大変だよね
A)聞いていた通りにしていたんだけど、なぜか、違うって言われて。たくさん言われてわけがわかなくなった。テンパちゃうんです。そうするといつもよりミスが増えてしまう。
S)お皿の扱い方が違うことを指摘された。たくさん言われて、テンパってしまって、ミスが余計に増えた。これでいい?
A)はいそうです
→事実の整理をしてみます。
S)ではたくさん言われてどう思いました?
A)私は別の方法を他の人から聞いていて。その通りにしたのにって。でも言わなかったけど。なんか、細かいことを言われると嫌だなって。苦手です。あと、同年代の人が苦手というか、おじさんとかおばさんなら、まだ聞ける
→仕事ができなかったことに落ち込んでいるというより、相手の言い方とか属性が苦手だったのかもしれない。
同じ事実でも、認知(解釈とかとらえ方)は人によって異なります。
そこから発生する感情も異なってきます。
S)細かいことを一気に言われたし、自分の言い分もあるし、そんなこんなで頭の中がいっぱいになったのかな
A)そうかもしれません。これって、高次脳機能障害のせいでしょうか?
→こうなると、自分の中で、問題解決に視点が向き始めます。無駄に、なんかうまくいかないと落ち込むことを防ぐことができます
ABC理論とは こちら参照 https://swingroot.com/abc-theory/
出来事→信ねん→結果 と書かれていますが、
私は 当事者の方には、事実→認知(とらえ方・解釈)→感情
のほうがわかりやすいのでこの言葉を使っています。
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