湯川れい子さん「平和と民主主義は、自ら獲得するもの」

湯川れい子さん「平和と民主主義は、自ら獲得するもの」

この本を読んだ数日後、ウクライナにロシア軍が侵攻したニュースが入ってきました。私たち、日本人は平和ぼけと言われるくらい、平和が当たり前だと思っていますが、先人たちが血がにじむような、いや、実際に多くの人が血を流して勝ち取ってきたものなのです。民主主義もそうですよね、フランス革命から脈々と続く、たくさんの人の命の上に成り立っているものです。

男女平等の民主主義を願って

湯川れい子さん、昭和の世代なら名前をご存じの方が多いのではないでしょうか。現在86歳だそうです。まだまだ(今でもそうですが)女性が活躍する場がなかった昭和の時代に、音楽への情熱とあふれる才能で大活躍されました。でも、湯川れい子さんの中に、流れている

母のような時代に戻りたくない。女性でも自分の足で立ちたい

という思いは、これまであまり知られていなかったのではないでしょうか。

私たちの世代は、戦後の民主主義と平和憲法を受け止めた第一世代でした(略)ただの女の子にとっては実際のところ、何をどうしたらいいのかわからない。

あなたは自由だ、自由に生きていきなさいと言われても、そういう新しい社会に最初に一歩を踏み出したからと言って、お手本となる先輩はどこにもいません。ロールモデルがどこにも見当たらないのです。

戦後に感じた「私たちはこれから自由なのだ」という喜びと当時に「ロールモデルがいない。どうしたらいいのか?」という戸惑いの中、試行錯誤の職業人生。そして大多数をしめる男性陣からのバッシング、セクハラ、嫌がらせ。あちらは大勢で組んで、そしてこちらは一人ぼっち、または少人数。これがいまだに解決されない日本社会であることは、多くの女性、一部の男性は実感していると思います。伊藤詩織さんの件もそうですよね。自由に生きろと言われてもと戸惑う人もいまだに多いのも事実です。

平和を願って

この本には、戦争がいかに多くの人の命を、まったく意味がなく奪うのか、何度も繰り返し書かれています。

人間が同じ人間と殺しあうということだけでも、もっともっと反省しなければならないけないことなのに、男も女も単なる道具、消耗品として取り扱われてきたことの間違いに、だれもが気づいて、等しく恥じてほしいものです。

アーティストは「エンタメだけしておけばいい」という日本社会において、あえて声を上げ続ける湯川れい子さん、なぜこの本のタイトルが「時代のカナリア」なのか、読み進めていくとわかります。鈍感なカナリアにはなりたくない、決して黙認するカナリアではありたくない、そんな思いから時代の悪化に声を上げ続けている湯川れい子さん、心からリスペクトです。

そしてこの本を紹介してくださった、隆祥館書店の二村さん、彼女も声を上げ続けている女性の一人です。湯川れい子さんとのイベントを期待しています!

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