社会が変われば、生きやすくなる〜当事者・家族が求めていること〜

「失語症は個人の病気」——そう思われてきた時代は、終わりを迎えつつあります。
今年の失語症の日記念イベントで実施したアンケートでは、当事者・ご家族・支援職の方々から「社会への提案」がたくさん寄せられました。その声は、諦めや嘆きではなく、具体的で力強いものでした。
① まず「知ってもらう」ことから
最も多く求められていたのは、社会的な認知の向上です。
失語症・高次脳機能障害を象徴するマークの整備と周知、「認知症ではない」という理解の促進、公共交通機関や店舗での指差しボードの設置——。
そして何より、「言葉が出るまで待つ」「ゆっくり話す」という合理的配慮が、当たり前の文化として根づいてほしいという声が多く聞かれました。
特別なことは必要ありません。少し待つ。それだけで、当事者の方の尊厳が守られます。
② テクノロジーの力を活かして
アンケートでは、AIや音声認識ツールへの期待も多く寄せられました。
書類の要約・情報整理へのChatGPT等の活用、当事者の考えを推測・補助してくれるAIツールの開発、音声をリアルタイムでテキスト化するツールや字幕付きコンテンツの拡充——。
テクノロジーは、失語症者の「伝えたい」を支える大きな可能性を持っています。
③ つながれる場所を、もっと
アンケートを通じて見えてきた深刻な課題のひとつが、コミュニティの不足です。
退院後に相談できる場所がわからない。当事者会・家族会の情報がどこにあるかわからない。同年代の仲間とつながれる場が少ない——。
特に新型コロナウイルスの影響で多くの「友の会」が消滅してしまいました。オンラインも含めた、気軽に集える場所の再建が急務です。
④ 制度・職場・司法を変える
より構造的な変化も求められています。
職場でのサポーター配置、行政手続きにおける本人確認方法の柔軟化、そして深刻なのが司法・警察の現場です。警察の取り調べや裁判で支援者の同席が認められないケース、弁護士が失語症を理解していないために相談できないケースが報告されています。これは人権の問題です。
私たちにできること
難しいことから始める必要はありません。
まず「失語症」という言葉を知ること。街で言葉に困っている人を見かけたら、少し待つこと。そして、この記事を誰かに伝えること。
当事者の方々は、特別扱いを求めているのではありません。ただ、同じ社会の一員として、尊厳を持って生きられる環境を求めているのです。
その第一歩は、あなたの「知ること」から始まります。








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