食べ物を認知するとは?〜言語聴覚士というお仕事〜

食べ物を認知するとは?〜言語聴覚士というお仕事〜

医療と健康、そしてリハビリの情報〜言語聴覚士というお仕事〜本日もよろしくお願いします。「お食い締め」の牧野日和先生のセミナー報告、続きです。

お口に入れるまでの長い道のり

私たちが食べ物を摂取するときには、必ず「これは食べ物だ!」と認識してから食べます。そのあとに、これをどうやって食べるのか?熱いのか?液体か?固形か?など、その食物の物性にあわせて、口に入れやすいように、動作を調整します。熱そうなら慎重に少しずつふーふーっとしながら、夏場の冷たいビールであればぐいっと一気飲み。ストローなら口をすぼめるし、カットしたりんごであれば大きな口を開けます。これらを「構え」と表現することもあります。

そこへ箸、スプーン、フォークなどの食具を持っている手を操作して、きちんとお口に取り込みます。もし、手が麻痺していて思う通りに動きにくかったり、感覚障害があって自分の顔のどの位置に運ばれているかわかりにくかったりすると、上手にお口に取り込むことが難しくなります。

食物を認知するとは??

ほとんどの本には「これは食べ物だとわかること=食物認知」と書かれています。なので、認知症の方が「これは毒だ」とか「これは何?」と、食べるべきものがわからなくなるのが認知障害であって、本来、食べるべきものとわかることが食物認知だと思っていました。

しかし、もう一つ、ありました!「食べるべきでない」と認知することも、食物認知なのです。これは目からウロコでした!考えると当たり前ですが、臨床では、「どうやって食べものと認知してもらえるか?」ばかり考えていたので、この視点はすっかり抜けていました。

自然界では「食べていいものかどうか?」つまり「異物か食べ物か?」を判断する必要があるのですね。嗅覚、味覚(特に酸味、苦味)で危険を察知します。ここで食べない!という判断をすることもあるのですね。これは大脳の働きになります。

さらに、もし、判断を誤って食べてしまった場合、嘔吐や下痢などで排出する(これを内蔵性拒否と表現されていました)こんな機能が備わっているのです。

ここまで行くと繋がってきました。認知症など大脳機能が低下してくると「何かわからない」→「食べてはいけない!」と認知してしまい、拒否になることがあるのでね。

反対に「異食行動」といって、食べ物でないものを食べてしまう行動もあります。

面白いことに、心の拒否は身体の拒否につながるそうで、食べ物だけど無理矢理食べさせられると嘔吐するケースもよく見かけますし、異食しても全然吐き出さないケースもあります。

本日は、ここまで。このお写真、どんな味かわからないけれど、なぜか美味しそう♪でも、これが全く違う食文化の人であれば、どう思うのでしょうか??

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