脳が悪いのか?本人か?法的責任能力は?村松太郎先生の講演〜言語聴覚士のお仕事〜

脳が悪いのか?本人か?法的責任能力は?村松太郎先生の講演〜言語聴覚士のお仕事〜

医療と健康、そしてリハビリの情報〜言語聴覚士というお仕事〜本日もよろしくお願いします。

認知症の人が自動車で人身事故を起こした時
前頭葉病変によって、感情コントロールが困難となって傷害事件を起こした時
法的にはどうなるのでしょうか。

司法とは対立軸の整理

私はこれまで仕事に関する法律などはチェックしていても、改めてそもそも「司法」とはなにか?と言われても、よくわかりません。司法とは「対立軸の整理」だそうです。利害や被害が対立する両者において、最善の妥協点を見いだすこと。

これだけで、すでに頭が白くなりそうですが、言われてみれば、その通り。認知や高次脳に問題があっても、利害の対立がなければ司法が関与することはありません。

最近は、認知症の方の遺言能力や、後見人制度についてマスコミでも取り上げられ始めており、彼らの財産をどうやって守るかが話題となっています。
復職などについても、障害者雇用に関する法律があります。雇用率が引き上げられたので、少し復職への道が開けてきた感はあります。

なんとなく、現場で働いていると被害者にならないように、不利を被らないための法律と思いがちですが、
しかし、加害者になることもありえるわけでして、こういう事を聞くといかに自分が関与している範囲が狭いか実感させれます。

法的認知機能は、検査ではわからない

私たちは、認知機能について、脳画像と標準化された検査を用いて評価します。でも、院内でさえその検査結果だけで判断するのではなく、病棟でも生活やまたは外泊などを利用して家庭や社会における行動を合わせて評価します。

なぜなら「脳損傷→行為」の間はブラックボックス。A=Bではないからです。
ここの難しさを、村松先生は以下のように説明されていました。

  • G to I problem (グループ to アイ)グループデータが全ての個人に当てはまるわけではない
  • S to B problem (スコア to ビヘイビア)検査結果が行動に当てはまるわけではない
  • B to B problem (ブレイン to ビヘイビア) 脳損傷が行動に当てはまるわけではない

なるほどなと、思いました。ここが難しいところです。重度の社会 的行動障害があっても、環境を整えることでトラブルを回避することができますし、
軽度の人でも、厳しい環境にさらされると、ストレスコントロールが難しくなり、万引きなど法的に触れることをしてしまう事もあります。

そして、当たり前ですが、被害者側からしたら、「脳損傷だから」の一言で簡単に納得できないものです。
もう一つ、難しいのが、司法に関わる裁判官も検査官も弁護士も、もちろん、高次脳機能障害の専門家ではありません。診断、評価がいかに重要なことか、改めて考えさせられました。

ちなみに「天秤」は司法、「蛇」は治療の象徴らしいです。

私の活動をご紹介

 

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