在宅生活を支える医療と福祉〜言語聴覚士のお仕事〜
医療と健康、そしてリハビリの情報〜言語聴覚士というお仕事〜本日もよろしくお願いします。今日は、訪問看護師さんの話を聞いてきました。病院に勤務する私は、いつも在宅に帰って行った人の生活が気になります。脳卒中を発症した人が、完全に発症前と同じ状態で退院することは少ないからです。帰ってからが、本番だったりするのです。
在宅生活と病院の違い
家と病院の違いは、何と言っても、その人が主導権を握っている場所であるかどうかではないでしょうか?
病院はあくまでも「一時的な場所」であって「医者や看護師の言う通りにしなくていけない」と薄々思っている人がほとんどではないでしょうか。なので「スタッフ主導」になります。タバコや酒はもちろんご法度、その他、「間食はだめ」「食事や就寝は決まった時間」「勝手に立ち歩いてはだめ」などなど。そして、バリアフリーは当たり前で、環境整備といって綺麗にお掃除してくれるし、お薬も飲み忘れることはありません。
でも、そんな自宅生活はないですよね。ごちゃごちゃ物が散乱した中、杖歩行したり、糖尿病があるのに勝手に家族の食べ物をつまんだり、飲み込みが悪いのにジュース飲んでしまったり。もう、入院時のような管理はできません。
そして、物品もない。以前、訪問看護師さんに「点滴とかどうしてるのか?」と聞いたら「ハンガーに吊るして、鴨居にひっかける」とか。ある物で工夫するしかないので、「何か支える物がない」か、キョロキョロするそうです。
でも、「自分がいる場所」なんですよね。なので、こうしたい!という気持ちがあるし、なにより「勝手知ったる自分の城」なので、病院のリハビリ室とは違って、意外とこれまでの行動ができたりすることは多いようです。
病院スタッフが心しておきたいこと
「これができないと、退院できないよ」と気軽に言わないで欲しいです。なんとかなるものです。そして、入院時から、「自宅に帰る」ことを目標において、簡単に諦めずに取り組んでほしい
この「〜できないと」という言葉、簡単に言ってませんか?もちろん、介護者の有無、経済問題、などなど、在宅復帰が困難な患者さんも多いですが、そんな時は、病院だけで判断するのではなく、地域の医療、福祉に相談してみることが大切です。
私たちが、知らないような知恵や社会資源についての知識をもっていることがほとんどです。
もう一つ
家屋改修など、すべて介護サービスの資源を使いきって在宅に戻さないこと。退院前に在宅環境を整えることは大事だけど、病院ですべてを決めてしまわない。生活している中で問題点が変わってくるから、その時に改修したり福祉用具を変更したほうがいい。
一点、床上動作、起き上がりだけは家族と一緒に練習をしておくこと。家族の介助を必要としても、起き上がれようにしておかないと、転倒したら、そのまま誰かが来るまで床で待っていないといけなくなる。
地域連携、医療と福祉の連携が言われてもう何年にもなりますが、なかなか「些細なこと」でさえ、ずれることがあるのです。情報交換できる場はとても大事だと思います。
在宅高齢者はこんなに多数!
こちら、内閣府HPからの引用です。
65歳以上の高齢者のいる世帯についてみると、平成24(2012)年現在、世帯数は2,093万世帯と、全世帯(4,817万世帯)の43.4%を占めている
こんなにたくさんいるのですね。地域格差も大きそうです。もう、医療保険、介護保険だけでない、社会資源が必要ですね。
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