哺乳類脳といわれる大脳辺縁系について~言語聴覚士というお仕事~
昨日は、爬虫類脳と言われている脳幹についてお話しました。今日は大脳辺縁系です。
子育てをする、仲間と群れる~爬虫類から進化したのはこの2つかも!~
呼吸をする、食べる、自律神経の調整など生存にかかわるものは脳幹にあります。これは原始的な動物にもある脳です。
進化の過程で、次に発達したのが哺乳類脳と呼ばれる大脳辺縁系です。これは自然の中で生き延びるための脳で、この脳の働きを「たくましく生きる」とも言います。
- 快・不快をもとにした恐怖や不安、喜び、怒りなどの情動
- 子供を育てたり、仲間と群れるという集団行動をするための情動
- 食べてもいい、ここは危ないなど、生存に関わることだけを覚えておくための記憶の中枢
こういう機能があります。か弱い赤ちゃんを育てたり、仲間と群れるなどで、厳しい自然環境の中で生き延びてきたわけです。
もっとも太古の感覚~嗅覚~
アロマオイルが認知症に良いと言う話題になったこともありますね。
大脳辺縁系に、匂いをかぎ取る嗅覚をつかさどるところがあるのです。視覚、聴覚、触覚、味覚はすべて大脳新皮質なのに、嗅覚だけが大脳辺縁系なのです。人間はほかの感覚が進化するにつれて、退化してますが。で、この嗅覚を司るところを記憶を担う海馬がとても近いのです!なので、アロマの匂いで刺激すると認知症に予防になると言われています。ちなみに、言語化できないけど、「生理的に好き、嫌い」というのは、匂いからくることが多いそうです。だって、情動をつかさどる辺縁系のそばにあるのですから。こちらの記事もお読み下さい→解明されてきた嗅覚メカニズム、認知機能との関連
人間の記憶力がすごいのは~海馬~
記憶と言えば海馬といわれますが、そもそも見たもの、聞いたもの、様々な情報をすべて記憶するなんて無理ですよね!
そして、この海馬は容量はあまり大きくありません。いったん様々な情報が海馬にあつまり、そのあと、必要な情報は大脳新皮質に格納されると言われています。でも海馬は中継地点なので、ここが障害されると、保存できなくなってしまいますね。そのため新しい情報が記憶されなくなります。海馬の損傷をした人、また海馬が委縮した認知症の人は、昔のことは覚えているけど、最近のことは忘れてしまうというのは、あたらしい情報が貯蔵されないからなのです。
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