解明されてきた嗅覚メカニズム、認知機能との関連〜言語聴覚士のお仕事〜

解明されてきた嗅覚メカニズム、認知機能との関連〜言語聴覚士のお仕事〜

医療と健康、そしてリハビリの情報〜言語聴覚士というお仕事〜本日もよろしくお願いします。

これまで5感の中で、認知機能に関するものとして「視覚」「聴覚」が重要視されてきました。私見ですが、おそらく「言語」と関係するからではないかと思っています。
しかし、この数年、「嗅覚」のメカニズムが解明され、様々な認知機能に関与することがわかってきています。

嗅覚の伝導路

匂いは「匂い分子」が鼻腔にある嗅上皮にある粘膜に付着→嗅神経を通って嗅球→大脳辺縁系へ到達。そこから大脳皮質のルートと、視床や視床下部を経て大脳皮質に到達するルートが解明されています。
大脳辺縁系は「旧脳」と呼ばれ、情動に関する扁桃体、記憶を蓄える海馬が含まれます。
なので、ある匂いを感じると、それに紐ついて記憶が蘇ることがあるとのことですが、これは容易に想像できますよね。私は、夏の夕暮れに感じるある匂いに、「夏祭りに行く前に浴衣に着替えていた」記憶が蘇ります。

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パーキンソン病との関連について

パーキンソン病は、脳神経が変性していく進行性疾患ですが、これまで4主兆として「振戦、固縮、無動、姿勢反射障害」といった運動症状が特徴とされてきましたが、
「自律神経症状」「睡眠障害」「うつなど精神症状」「高次脳機能障害」に加え、「嗅覚障害」といった非運動性障害もほとんどの症例で見られます。
とくに嗅覚の異常は8〜9割に見られ、約 75%に嗅覚検知閾値の上昇を,約 90%に 匂い識別覚の障害をみとめるとされています。すなわち嗅覚障 害は 4主症状よりも高頻度で、さらに早期から見られ、これが早期発見の鍵となるかもしれません。こちら武田篤先生の論文、とてもわかりやすいです。

自閉スペクトラム症の嗅覚特性について

2015年の高次脳機能障害学会では
福井大学 熊崎博一先生による「自閉スペクトラム症の嗅覚特性」について講演がありました。

自閉スペクトラム症では、感覚過敏や感覚刺激に対する低反応といった感覚の問題が
19年ぶりに改定されたDSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル で診断基準の一つとして掲載されています。とくに、嗅覚や味覚の問題がとくに重度であり、ある匂いに対して過敏であることで特定の場所を避けたり、または危険に対する認識が遅れたり、偏食がきつかったりなどの社会適応への困難さ、また人に近づけないなどコミュニケーションに問題を生じている可能性があるかもしれないとのことでした。
これまで、教育の現場でも対策がとられていない視点ではないかと思われます。

DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル
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私にとって、嗅覚はまだまだ馴染みがない分野でしたので、今回の記事はまとめるのが難しく、手薄感満載ですが、一度終了します。

ちなみに、メディカルアロマセラピーについてはこちらの本が面白かったです。

 

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