「言葉がでない」「うまく話せない」の背景~失語症・高次脳機能障害~言語聴覚士のお仕事
脳卒中や頭部外傷などの後遺症である失語症や高次脳機能障害。ともにコミュニケーションに問題が生じます。一見、会話ができているような軽度の人でも、多くの人が「言葉がでない」「話ができない」と訴えられます。でも、簡単な会話ができているので、その訴えを聞いた言語聴覚士や支援職は「そうですか?話せていますよ」と伝えてしまうようです。でも、本人は困っているのです。
気持ちや思考を表す言葉
この違いはなんでしょう?確かに、簡単な会話はできます。でも、コミュニケーションってそれだけではありませんよね。
- なぜそう思うのか
- 自分はこれをどのように考えているのか
- 何が困っていて、どうしてほしいのか
こうした少し高度なことを話そうとすると、適切な言葉が浮かばないのです。肝心なところが表現できないもどかしさ。そして、表現しようとすればするほど、伝えたい情報の周辺をぐるぐる話してしまって、結果、相手から「何が言いたいのでしょう?」と聞かれてしまう。
これは「物の名前が言えない」とは全く違うのです。物の名前が思い出しにくい失語症の人は「あれ、あれ・・」と言葉に詰まってしまうので
相手も「失語症で言葉が出にくいのだな」とわかります。
しかし、具体的な言葉は言えても、気持ちや思考を表す言葉が出てこない人のお悩みは、周囲にはわかりづらいものです。発達障害や、若年性認知症の方でもいらっしゃいますね。
言語聴覚士の方へ
患者さんの気持ちを楽にしようと思って、または困りごとに気がつかなくて「話せていますよ」と軽く言わないように。
どんな場面で困りますか?なぜ困っているのか伝えにくいですか?
どんな話をしたいのですか?自分の気持ちや考えを話したいですか?
ちょっとしたニュアンスが伝わりにくいですか?
などなど、例を挙げながら聞いてみてください。そのとき、わかりやすく表現できない人は、「自分のこまりごとを相談したい」という場面で、すでに「困っている」「話せない」のです。決して「大丈夫」ではありません。
言語聴覚士の先生に、話せてますよ。あとは何もすることがありませんと言われたんです。私、どうしたらいいのでしょうか?
まだまだ働かないといけないのに・・
オンライン言語リハビリを申込みされた女性の言葉です。要件を言うだけが会話ではありませんから。こちらでサクッと語っています。
LEAVE A REPLY