【言語聴覚士の課題】失語症リハビリの現状
今日は、失語症のリハを担う言語聴覚士の現状についてお伝えしたいと思います。
2019年に実施された「脳卒中患者・家族アンケート」調査結果の5つのポイントに「失語症という後遺症に対する支援や理解が不足している」が挙げられていました。
数ある後遺症の中で「失語症」の名前だけが掲載されていることに驚きましたが、それだけ多くの失語症者が困っている現状にあるということだと納得しました。
失語症を合併していると復職率も低くなります。
しかし、失語症者に適した就労支援の整備は未だに不十分です。
麻痺が軽度であれば失語症があっても、介護保険を申請しても要支援にさえなりにくく、身体障害者手帳の取得も困難です。
このため、社会的な自立が困難であるにも関わらず、福祉サービスの利用もままなりません。
たとえ復職しても閑職に回される、家族間であっても重要な話し合いに呼ばれないなど「知的低下」、「意思がない」など多くの誤解が生じています。
もちろん失語症は、適切なリハにより、回復する可能性が高く、また代償手段を用いてコミュニケーションを図れるようになります。
それを担うのが言語聴覚士です。
しかし、ここ数年、「失語症の人に関わったことがほとんどない」「失語症の人に時間をかけられない」「言語リハをしている実習先が見つかりにくい」このようなことを、耳にします。
言語聴覚士が、失語症のリハに充分従事できていない、私がこの現状を公の場で聞いたのは2015年言語聴覚学術大会のシンポジウムです。
「病気の進行に伴って、言語聴覚療法の対象は広がり、摂食嚥下障害や認知症の比重が増している。」として、今後の言語聴覚士のあるべき姿が論じられました。
「え?言語聴覚士が失語症のリハをしていない?」と驚かれると思いますが、失語症のリハの多くが医療・介護保険サービスで行われています。
そのため診療報酬の影響を受けざるを得ないのです。
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