【思い込みと混乱】病院で起こる記憶の入れ違い

【思い込みと混乱】病院で起こる記憶の入れ違い
記憶障害についての話の続きです。
記憶障害の特徴のひとつとして、あいまいに思い出した記憶を勝手に繋げちゃうということがあります。
奥さんが来た+ベットサイドにお見舞いの菓子がおいてある→奥さんがお菓子を持ってきた、と思い込む。「こんなに食べられへんわ」と思って、看護師さんに「妻がお菓子を持っていたから、どうぞ!」と満面の笑顔であげる。または同じ病室の患者さんに配る。本人は「全くの善意」ですね。ま、大阪は、こうしてお菓子、飴ちゃん、みかん(笑)を配る人が、いまだに多い。
で、問題は、ま、脳神経外科には、脳梗塞や脳出血の人がたくさん入院していて、そう、必然的に糖尿病の人が多いわけです。
この患者さんも、糖尿病だったとしたら?
「奥さん、お菓子なんて持ってきてもらっては困ります!ご主人、糖尿病と説明しましたよね」と、看護師さんに奥さんが怒られる。
ま、この場合は、事実でないことがわかるのでいいですが
「え!あの奥さん、まったくわかってないわ」ぶーぶーって怒って終わりだったら、まったく真相は闇の中。
そして、患者さんに「この病院は、糖尿病の人がたくさん入院しているから、お菓子を配ってはいけませんよ」と、いくら説明しても、忘れてしまう。
または、親戚がお見舞いに来た。「おー!久しぶり!」と、話が弾む。
話の内容も、入院する前のことで、辻褄が合う。元気そうでよかった、よかったと親戚は帰る。
帰る途中で、ついでにナースステーションによって、看護師さんに
「これ、あの人の好物ですねん。ご飯食べたあとみたいなので、看護師さんからあとで渡してもらえませんか?」と、言付けて帰る。「わかりました。預かっておきますね」
で、頃合いをみて
「○○さん、差し入れを預かっていますよ」と持っていく。「おー!ありがとう!あいつ、気を使ってこんなんくれたんやー。すぐにお礼が言いたいけど、先に頂くわ」
ここまでめでたし、めでたし。
で、食べたあと
あれ?これ、誰がくれたんや?
こうして、お礼の連絡ができなくなる、そして数日後、差し入れを忘れる。
再び、お見舞いに来た親戚の人は
「あれ、うまかったか?好物でっしゃろ。病院のもんは味気ないから、持ってきたったで!」とかいう。
「え?なんの話?俺、しらんで」
「え?看護師さんに渡したで」
「食ってへんもんは、食ってへん」
後遺症を全く疑っていない親戚は「看護師さんが、食べたんか⁉︎」となる・・
ちなみに、私の母もこのパターンでした。「兄ちゃんに差し入れしたのに、食べてないって。看護師さんが食べたんじゃないか?」勝手に食べるわけないでしょ!と、病院職員を代表するくらいの気持ちで反論したけど、「にいちゃんはボケてないよ、あんた失礼やね。私らの名前も覚えてるし、去年の法事のこともちゃんと覚えてた」と、聞く耳持たず。
その後も、退院したあと、トラブルが頻回で、そのたびにお嫁さんが疑われて可哀そうでした。
こんなトラブルが、しょっちゅう発生します。もう、本人だけでなく、周囲も大混乱ですよね。
でも、そんなトラブルを見ながら、自分が覚えていない!なんのこと?と、本人はさらにショックですよね。
再び、岡﨑さんの言葉に戻りますが
「なんで怒ったん?と言われても、覚えてないんですわ。これ、めっちゃ気持ち悪いですよ・・ほんと、情けないですわ」
こうした日常生活でさえ記憶するのが難しいのに、新しいことを学んでいる最中の学生さんだと、ほんとに大変です。
日本の教育では、暗記するものがたくさんありますから、学習に遅れがどうしても出てきます。何度書いても、書いても、なかなか覚えられない、そんな声をよく聴きます。
バイクやスポーツで、頭を打ったあと、学習面で遅れがめだってきた場合、高次脳機能障害を疑ってみるべきです。
ほとんど、診断されていませんから。むやみやたらに、自己肯定感を下げる必要はありません。
いかがでしたか?

私の活動をご紹介

 

LEAVE A REPLY

*
*
* (公開されません)

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください