当事者の手記より~失行・失認・半側空間無視について

当事者の手記より~失行・失認・半側空間無視について

まず、半側空間無視について、こちらの本を書いた下川眞一さんは

右の被殻脳出血、それも広い範囲だったので

非常に重度の半側空間無視が残存しています。

左側があまり見えていないので、注意して車椅子を使うようにと、何度も言われた。実際の車イスをこいでいると、頻繁に左の壁によく当たった。注意しているつもりが、なかなか治らなかった。これが左空間無視の症状だ。STの先生が机の上におはじきをばらまいて、僕が全部取っていくこともした。何日も続けたが、それもあまり進歩がなかった。今度は、カルタを持ってきた。いつも左の端にかるたを置く。僕は左のカルタが取れなかった。あまりにも腹が立つので、いつも左隅をあらかじめ覚えておくようにした。そのうち、左に置かれたカルタを取れるようになった。それにしても、先生が並べたかるたを全部取れるようになるまでに、相当時間がかかったと思う。

下川さんは、名刺に書いてある名前の苗字を見落とします(名刺の中で左側)

単語を選ぶプリントでも、枠の中で左側にある単語を見落とします。

空間だけでなく、ある1個の物体の中の左側を見落とすことがあります。

さて、この本の著者である関啓子先生は、言語聴覚士の草分け的な存在で、

半側空間無視の研究者です。そして、ご自身が脳梗塞によって

左半側空間無視になられ、その時の状況が、この本に書かれています

無視は損傷された半球と対側、反対の空間にあるものに気づかなので、右を損傷した人は左の空間に気がつかない
急性期に両眼が右を向いていることは、無視(左半側空間無視)を強く示唆する神経学的所見である。
私は、長年、半側空間無視の患者さんと接し、これについて研究してきたから、急性期に右共同偏視を呈している
患者さんの症状が重い傾向にあることがよくわかる。発症時、私の両眼は右を向き、周囲の喧騒とは別世界の、非常に静かで安らかな状態を感じ右半球損傷が推測された。

要は右側に両方の目の眼球が偏移して、右側ばっかり見ている共同偏視という症状が自分にもあたっていて

自分はずっと研究してきたから、このことを体験するのだとまさに研究者ならではの記述があります。

先生について半側空間無視のことをお聞きしたとき「軸がずれています。私にとって左側の世界がないのはなくて、中心の軸がずれているのです。その軸を中心として左右があるのです」と話をされていて、無視って言葉からのイメージと少し違うのだなと感じました。

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