失行・失認・半側空間無視について「教科書ではほんとにわからない」
私は2001年に言語聴覚士の養成校に入学しました。当時、学校もできたてほやほやで
関西では、言語聴覚士として非常に草分け的な先生たちが教鞭をとっておられました。
なので、今、思えば非常に有名な先生方に授業を受けていたんですが
当時の私の頭がついていかなかったので、大変もったいなかったと思っています。
この高次機能障害についても非常に専門的な授業を受けていましたが、学生時代は、苦痛でしかなかった。
なので、この症状がわからない、想像しにくいという人の気持ちもよくわかります。教科書など文字での説明では、なかなか実感を伴って理解するのが難しいものです。しかし、臨床にいると、典型的な人も多く、比較的とらえやすい症状だと思います。
高次脳機能障害の定義について
脳血管疾患による高次脳機能障害というのはいろんな定義があります。これが混乱の元でもあります。
古典的な高次脳機能障害として「失語・失行・失認」「半側空間無視」というものがあります
これはなぜ古典的かというと1900年前後には、すでに、こういうものがありますよ
と、当時の学会とか医学会で発表されているんですね。
病巣と一致している、そして、その症状をみれば比較的分かりやすい症状なんです。
- 失語は、「話す・聞く・書く・読む」そして「計算」、つまり言語の機能が全て難しくなります。何かいいたいけど言葉がでにくい、何を言われているのか理解したいが難しい、そうして言語の障害です。
- 失行は、行為の障害、行為を失うと書いてあるとおり、ざっくり言えば意図した動作、行為ができない症状です。ある目的動作(例えば、服を着るとか、歯を磨くとか)やろうとしても、うまく行為ができないのです。
- 失認は、5感から情報が入っているけれども、何なのか認知できない症状です。例えば、耳が悪いわけではなく音は耳に入ってる、視覚であればいわゆる目が悪いわけでもない、しかし、それが何なのか認知できない症状。例えば、りんご、赤いものがあるんだけどそれがりんごとわからなかったり、赤くて丸いという色や形が頭で認知できない。ところが、視覚でわからない人でも触ればわかるというように違う感覚からだったら、理解することができるのです。
これらは、だいたい病巣と症状がほぼ対応しているので「巣症状」とも言います。
半側空間無視も、損傷した対側の空間が認識できない症状です。これについては、明日、書きます。
ところが近年になってきて、これだけじゃないなと、色んな症状が分かるようになります。画像診断の技術が進んだことも大きいですね。
これが新しい高次脳機能障害で、「注意・記憶・遂行機能、又は社会的行動障害」です。
お知らせ
こちらのセミナー動画(500円)を希望の方は、公式ラインから「失行の動画」と、お申込みください。
- 失行、失認、半側空間無視とは
- 日常生活場面でみられる症状
- リハビリテーションのコツ
などについて話しています。
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