コミュニケーションの回路を回そう①~長期回復について

コミュニケーションの回路を回そう①~長期回復について

 失語症は、長期にわたり回復していく言葉の障害です。私が言語聴覚士の養成校に入学した2001年には、「2~3年かけてリハビリテーションを行うのが望ましい」と習いました。この長期回復については、江戸川病院(東京)の中川良尚先生の論文や、佐野洋子先生の「脳が言葉を取り戻すとき」https://www.amazon.co.jp/dp/4880021806にも書かれています。

言語と言うのは、非常に高度な脳機能です。人間は生まれてすぐに肺呼吸を初め、母乳を飲みます。そのあと鳴き声、喃語を経て、発話ができるようになります。子供が発話するためには、その前の段階でたくさんの言葉を聞いて、脳内に整理しながら蓄積していくわけです。貯まり貯まった段階で、ようやくポロリと出てくる、非常に複雑な脳の機能を必要とするのです。なので、すぐには改善しません。そのかわり、頭打ちになるまでの年数も長い、むしろ頭打ちはないのではないでしょうか。確かに病前と同じように話せるまでに回復する人は非常にまれで、どんなに軽度の人でも「思うように話せない」という悩みを抱えています。それでも、その人のレベルで、半年前より、1年前より、5年前よりと、なんらかの回復を実感する場面があります。

 今日、私は7年前に担当していた非常に重度のウエルニッケ失語症の人にインタビューをしました。数年ぶりにあったのですが、落ち着いた話し方、そして錯誤が激減しているのに驚きました。確かに、聴覚的理解は不十分なことがあり、インタビューの時に何度か丁寧に言い直しをしました。職場のミーティングが「ほんとに嫌です。わからないことがたくさんです。早口でしゃべられると、もう全然あかんです。何日とか、何時とか、もうわからない」「ミスして怒られても、何を言われているのがわからない」という状況ですが、それでも「昨年よりはマシです。よくなっています」とはっきり仰っていました。奥様が、回復期病院に入院していたときの、リハビリテーション計画書を持ってきてくださいました。いや・・改めて重度だったな。もう、全然、言葉がわからないので、いつも状況がわからず、びっくりした表情をしたのが印象的です。

 

 

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