発達障害だからコミュニケーションが苦手なの?
2019年からオンラインで言語リハビリを行ってきました。これまで多くの方にご利用いただきました。最近は、オンライン言語リハビリに関心を持っていただけることも増え、とてもうれしく思います。当初は、言語聴覚士ですから、脳卒中の後遺症である失語症や高次脳機能障害、構音障害の人を対象に「リハビリ」をしようと考えていました。ところが昨年あたりから、様々なコミュニケーション障害の方のお悩みが届きます。そこで、今日から、私にとって、オンライン言語リハビリの可能性を見出した事例を紹介していきたいと思います。
まずは、発達障害、様々な精神障害の診断がついた野中さん(仮名)40代の女性です。彼女は、「自分の障害についてある程度わかっている」が、「この障害と、私のコミュニケーションにおける困りごとに対し、言語聴覚士として、何かできるのか知りたい」というのだ。
最大の悩みは、自分の障害について理解が得られないこと
野中さんは、40歳を過ぎてから、発達障害の診断がついた。その他、精神障害についてもいくつか診断がついていたが、その障害名は、本人が主治医にかけあったものと、主治医が問診や症状からつけたものと2パターンあった。なぜなら、「自分はこういう精神の障害があると言っても、主治医がなかなか認めてくれない。主治医とコミュニケーションが取れない」というのが、彼女の最大の悩みであったから。どうしたら自分の障害についてわかってもらえるのか、悩んでいた。
野中さんは、ご自身で精神障害の診断マニュアルであるDSM⁻5を読み込み、自分の症状から、これに当たるのではないかと、いくつかの障害名を考えていた。中には、主治医から「そうとも言い切れない」といわれるものもあったが、本人としてはそれが納得できない。なので、自分のことをわかってもらうために、障害について説明書を作成していた。
自分はどうも相手と上手にコミュニケーションが取れない。長年、それにずっと悩んでいる。なので、医学的な本を読み、情報を収集して、思い当たることについて書いてみた。自分の考えがあっているのか、医師にも相談したいし、納得できる診断をつけてほしい。できれば、自分にかかわる人たち(ヘルパーや支援職の人、ちょっとした知人)にも読んで、理解してほしい。
そんな思いで書いたその説明書は、専門用語を入れた事例レポートのようで、10ページにも及ぶ。
自分の伝え方が悪いのだろうか?
自分を理解してほしくて、詳細に書いたいわゆる取説であるが、「誰も真剣に読んでくれない」とのことだった。この説明書だけでなく、
直接、口頭で説明してもなかなかわかってくれない。自分は発達特性により相手と共感が得られにくいので、伝え方が下手なのかもしれない。でも、どうやって伝えたらいいのか、わからない。どう伝えたらいいのだろうか?
と、メールは続く。さて、ここで質問です。野中さんは、伝え方が下手なのでしょうか?発達特性によってコミュニケーションが難しいのでしょうか?
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