頭部外傷による高次脳機能障害No2〜言語聴覚士というお仕事〜
医療と健康、そしてリハビリの情報〜言語聴覚士というお仕事〜本日もよろしくお願いします。
前回に引き続き、大阪医療センター脳神経外科の中島伸先生の講演の報告、テーマは「頭部外傷」です。
高次脳機能障害を呈した場合の認定は?
事故による脳損傷で高次脳機能障害が残存した場合、そのうち、症状固定といって、これ以上回復が見込みにくいと医学的に判断された場合、損害保険の適応となります。
重症度に応じて、後遺障害等級が決まっています。ざっくと資料にあったのは
- 1級:つねに介護を必要とする
- 2級:随時介護を必要とする
- 3級:労務に服せない(労働能力喪失率100%)
- 5級:労務に服せない(労働能力喪失率79%)
- 9級:労務が相当な程度に制限(労働能力喪失率35%)
- 14級:局部に神経症状を残す
障害者手帳などとは、異なってます。
認定されるためには?
症状が固定したと診断された時期になって、認定をうける手続きを「書面」にて行っていきます。ポイントは以下の3点。
- 受傷直後に意識障害を呈していた場合(意識障害が残存した日数と、高次脳機能障害の重症度は相関することが多いです)
- 画像で異常所見がある(これは確定診断がつきやすいですが、分かりにくい場合も多いです)
- 症状がある
びまん性軸索損傷のように、画像でわかりにくければ、この「症状がある」がキーとなるのです!
そのために必要な書類はこちら「神経系統の障害に関する医学的意見」医師が記載します。
もう一つ、「日常生活状況報告」主に家族など生活を共にしている人が書きます。こちらの方がリアルな情報ですね。なので、家族や介護者は、生活場面で困ったこと、これまでと違うなと思ったことなどを記録しておくことをおすすめします。
あとは医療機関で受ける高次脳機能検査が、各種ありますが、これは机上で行う検査で、必ずしも生活能力を反映しないことがあります。検査の点数だけ高くでる人も多々、見かけます。なぜなら、ここに書いたように「遂行機能」という生活をうまく回していく能力は、なかなかテストでは反映されないからです。
言語聴覚士、その他、高次脳機能障害に関わる人へ
高次脳機能障害は「見えない障害」と言われています。なので、私たちも、生活の中でどのような困難さが生じているか、説明することが難しかったり、さらに私たち医療者自身が見落とすことだってあり得ます!ここに挙げた書類は、自分たちの評価に漏れがないかチェックしたり、また説明するときのツールとしても使えるかと思います。
適切で漏れがない評価と、本人や周囲の人への説明、これはとてもとても重要なお仕事だと思います。
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