脳にある言語中枢、失語症とは?聞くとは?〜言語聴覚士のお仕事〜
医療と健康、そしてリハビリの情報〜言語聴覚士というお仕事〜本日もよろしくお願いします
さて、先日「リハビリってなに?」「失語症ってなに?」の記事を書きました。そこで、脳卒中や頭部外傷など、なんらかの脳の病気の後遺症によって
「聞く」「話す」「読む」「書く」ことが困難になった「失語症」について書きました。本日はその続きです。
脳には「言語中枢」という、言語に関与する特定の場所がある
脳には言語に関わる部位があり、その部位を「言語中枢」といいます。
成人の言語中枢は生まれつき右利きで95%以上、左利きの人は70%以上が左脳にあると言われています。
なので、私たち、言語聴覚士は、必ず患者さんの利き手、それも生まれつきの利き手、さらに、家族に左利きがいないかも聴取します。
左右の脳がそれぞれ役割分担をしていくことを「側性化」と言います。基本的いは右脳が「空間認知」で、左脳が「言語」です。しかし、 これが必ずしも当てはまらない人、曖昧な人が、特に左利きの人に存在するからです。
出展;月間クラシック探偵事務所
「聞いて理解する」って何?
同じ「きく」でも、音や音楽を聴くと、言葉を聞くでは少し違います。
「言葉を聞く」は、相手の発した音が
- 言葉に関する音なのか?(例えば、犬の鳴き声と、日本語の「わんわん」は違いますよね?)
- その音は日本語にある「音」なのか? (英語のaでなく、日本語の「あ」なのか?)
- どんな組み合わせなのか?(「林檎」は「り・ん・ご」の三つの音で成り立ちます)
- そしてその音の組み合せは何を意味するのか?(「り・ん・ご」はあの赤い果物です)
- そして、前後の音は何を意味するのか?(「林檎を食べる」の「を」は、食べるという動作の目的物を表します)
- こうしてようやく「林檎を食べる」が理解されるのです。
道のり、長い!
それも、相手の声の大きさ、高さ、周囲の雑音、電話やラジオなど、いろんな状況あるにもかかわらず、音から意味を理解するのです。この作業を、脳内のネットワークで瞬時に処理していくのです。すごいですよね。
そして、今、私はラジオを聞いていますが、こちら、音楽とトークそれぞれに音からの情報を処理しつつ、片方では、言葉をまとめてキーボードで文章を打ち込んでいます。複数の回路が、びゅんびゅん高速処理されているわけです。
「聞く」が難しくなる失語症
難聴の人であれば、補聴器などで、最初の段階を補助するとあとの処理はすすみます。
しかし、失語症の人は、そのあとの処理が難しいのです。それも、人によって、どの段階で障害されているかが、異なってくるのです。ここを評価しないと、効果的な訓練にはなりません。やたら大声で話しかけている場面を見ますが、「音は聞こえているのです」でも、その「音が何か?」「どんな日本語の音なのか?」「どんな音が組み合わさっているか?」「その組み合せが何の意味を表すのか?」などなど、いろいろな箇所で困難さが生じるのです。
そして、私たちのコミュニケーション活動は、ほとんどがこの「音声言語」で成り立っています。なので、「聞く」障害は、とても深刻な問題を生じます。患者さんは「話せない」ことを訴えることが多いですが、「聞く」ことの障害の方が、実は生活上で様々な影響を及ぼします。
次回に続きます。
画像検索者;ヨキンコ
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